2ntブログ
 

カッコウの官能小説劇場

□ スポンサー広告 □

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

*    *    *

Information

□ 騎士姫の復讐 □

終章 最後の決闘

 ここでこの男と向かい合うのは、もう三度目だ。
 崩れかけた屋敷の前庭で、アンネロッテはふと思う。
(いけない、今は感慨などにふけっている場合ではないわ)
 今のアンネロッテは、鎖から解かれた体を鎧に包んでいる。自前の衣服はとうに破られてしまっていたので、素肌の上に鎧を着けている。下着は紐みたいなパンティのみで、下半身は悩ましい丸みの豊臀が丸出しになってしまっている。それでも、久方ぶりに騎士の装束をまとうと、ずっと娼婦として振る舞いながら、必ず戻ると信じた自分にようやく戻れた気がする。

 それなのにアンネロッテは、自分の心境に違和感を感じていた。これから、憎むべき難敵との決闘である。自分を異常な性欲のはけ口として辱め尽くした邪悪な男で、もし今回も敗北したなら、もはや立ち直れないかもしれない。そんな生死以上を賭けた戦いに臨んでいるというのに、恐怖もそれを乗り越える勇気もわき上がってこない。
(私はどうしてしまったのだろう、何度も犯される内に、いつしかこの男を受け入れてしまったのかしら)
 この男の望むように、淫らに振る舞い、背徳的な快楽に溺れた。そのことを思うと下腹部が熱くなる。それを身震いで追い払い、緊張感を取り戻そうとする。
(いいえ、決してそのようなことはないわ。あれはあくまで偽りの姿。絶対にこの男を打ち倒して、本来の私に戻らなければ)
 美しい眉尻をつり上げ、鋭い瞳で男を睨みつける。
 ベルトランは、前と同じように平服に簡素な胴鎧を着けただけだ。すでにその両手には剣とソードブレイカーが握られている。その腕前の恐るべきは身に沁みて知っているが、以前に対峙したときの微妙な殺気や、油断のならなさが感じ取れない。
(この娼婦として過ごした二月で、騎士としての感覚がなまってしまったのか。いけない、この男に負けたのは二度とも油断が原因だった。気の緩みがもっとも危険なのよ)

「やっぱりおまえは騎士姫の姿が一番良く似合うな。もっと、その格好で犯してやれば良かったと思うぜ。くくく、我ながらあれだけやっておきながら、まだやり足りないとはね。本当に何度犯しても飽きない女だよ、お前は」
「昨日まで貴様望むがままの娼婦になって弄ぶがままになっていた。だが、それもこの決闘のためだ。今までの恨み、全部ここではらしてやる、覚悟しろ」
 アンネロッテは剣を抜き盾を構えると、裂帛の気合いをあげて打ちかかる。
(よし、腕の方はそうなまっていない!)
 鋭い打ち込みを、男は二本の剣を巧みに操って防ぐが、防戦一方である。
 一方アンネロッテは、戦いが始まれば否応なく集中力が戻ると期待したのに、何合打ち合っても違和感は消えるどころか増していく。
 踏み込んで剣で刺してきたのを、盾を使って激しく押し返すと、男は後ろにはね飛んで倒れた。

「どうした、また私の油断を誘っているつもりか!?」
 思わず、叫ぶように言うと、男は荒い息を吐きながらにやりと笑った。
 その顔を見た瞬間、アンネロッテは違和感の正体を悟る。
 男はもう、自分とまともに戦えるような体ではないのだ。
 毎日、様々な体位で犯されてきた。組み敷かれ、直接肌と肌を合わせてきたからこそ、少しづつの変化には気がつきにくかったのかもしれない。また、快感に屈する度に開花させられた自分の肉体と感覚の変化故に、見過ごしていた。それでも、心の底では気がついていたのだった、男の肉体が徐々に病に蝕まれていたことに。

「くく、お前こそどうした、剣に全然迫力が無いぜ。さては、負けた後に思い切りお仕置きされるのを期待しているんだろう」
「ふざけるなっ」
 怒りに駆られて、アンネロッテは剣を振り下ろす。ベルトランはソードブレイカーの鋸刃で受けると、ひねりを掛けて剣を落とそうとした。とっさにアンネロッテは剣を振り上げると、ソードブレイカーが男の左手から離れて跳ね上がった。
 その瞬間、男の左手が何かを引くように動くのをアンネロッテは見逃さない、とっさに頭を竦めて盾を掲げたのは戦士の本能のなせる技だった。
 跳ね上げたはずのソードブレイカーが上から降ってきて盾の上辺に当たって跳ねた。柄に細い紐が結わえられていて、男の左手とつながっていた。
「くくくっ、やっぱり駄目か。昔、一度位はうまくいくんじゃないかと思ったんだがな」
 ソードブレイカーを跳ね上げたのは、完全に男の術中だったらしい事に気がつき、この死角からの攻撃を防いだのが半ば幸運だったことを悟る。
「流石にもうネタ切れだ。くくく、最後にびっくりしただろ」
 男はそう言って、地面に座り込んだまま、両手をあげた。
 それを見て、アンネロッテの美貌が泣き出しそうに歪む。もう男には、アンネロッテを剣で打ち負かせる力が残っていないのだ。だから、あのような成功確率の低い攻撃をやって見せたのだ。

「ふざけるなっ、剣をとれっ! たってもう一度戦え! お前は、もっと強いはずだ!」
「はははははっ、無理言うなよ、これが今の俺の精一杯だ。今の技だってうまくいけばお前の脳天にぶち当たってたんだぜ。結構良いとこまでいったと思うがな。それとも本当に、もう一度負けて、がんがん犯してもらえると思っていたのか?」
「これは私の勝利じゃない、病がお前を打ち負かしただけだ」
「もうこの病も俺自身さ。さあ、俺をぶち殺して行けよ。お前の嫌がることは全部やってやっただろう」
「そんな……、私は、お前を騎士として打ち負かすことを夢見て、あんな恥ずかしいことにも耐えてきたのに……これでは、私は元の騎士姫には戻れない!」
「くははははっ、例えまともな頃の俺をぶち殺しても、決して元には戻れないさ。お前は俺の可愛い精液便所で淫乱な女神だ。いいねえ、昨日まであんなにとろけてちんぽをねだってた瞳で睨みつけられると、立っちまうぜ。忘れるなよ、俺のちんぽがどんな風にお前の子宮を叩いて、直腸をえぐったかを」
「全部、全部、お前の思い通りか! こうやって私に殺されることを望んでいたのか!」
「ひひひひ、本当はお前とやってる最中にでも心臓が止まるのを期待していたんだが、なかなかそこまでは上手くいかないやな」
「お前は、私の誇りも名誉も全て奪って、何一つ返さないのか……、悪鬼のベルトラン」
「そうだ、俺の人生、全てを奪うか、奪われるかのどちらかだった。だから最後は俺を憎んでも憎み足りないって奴に命を奪われるのが順当ってもんだ。
 それがよう、心臓の病で数年でくたばるって言われたときは笑ったぜ。どうせ死ぬなら忘れ果ててたガキの頃の故郷で死ぬかと思ったが、やっぱりおとなしく死ぬのを待ってるなんてのは、性に合わないな。そこに、のこのこお前が現れた。くくく、神様は何で俺みたいな極悪人にこんな贈り物をくれるのかね」

 アンネロッテは珍しく饒舌にしゃべる男を、唇を噛みしめ目に涙をためてにらんでいたが。ついに脱力して、膝をつく。
「さあ、どうした、ひと思いに殺すんじゃあ、恨みが晴れないってんなら、なぶり殺しにでもしてみるかい。もっとも今の俺の体力じゃあ、そんなに長くは持つまいがな」
「……馬鹿な、私はそんな事をしない、そんな事をすれば、お前と同じ化け物になる。それを分かってて言ってるんだろう」
「さあ、どうかな。後はお前次第だ、思い通りにやってくれや」  

 アンネロッテの頬を涙が伝う。いったい何が悲しいのか、自分でもよく分からない。
 様々な感情がわき上がっては、渦のように混じり合う。
(私はどうすればいいのだろう。この男を殺してやりたい、殺してこの心の痛みを消し去りたい。でも、それはこの男の望み通りに振る舞うこと、昨日まで淫らに辱めをねだってみせていたのと同じだわ)
 この二ヶ月の間にこの男に与えられた、数々の凌辱を思い起こす。
(本当は分かっていた、もう汚れの無い乙女には戻れない。だってあの体を貫く快感を味わってしまった、我慢できずに求めてしまった。男に強制されたからと言い訳をしても、本当は自分でも望んでいたの……。それでも私は、また叛乱の騎士姫として戦いたい、この世界を変えたい)
 アンネロッテは、目を見開いて涙を流しながら自らの心を探っていた。先程までの悲憤に歪んでいない、透き通るような表情で泣く、妖精のような美貌を男はじっと見つめていた。

 アンネロッテは、すっと立ち上がる。その瞳にもう涙は無く、決意の光があった。
「ベルトラン、お前は哀れな男だ」
「ふふ、そうかい」
「死ぬのが恐ろしいんだな」
 男はしばし沈黙した。
「さてね、自分でも死ぬのが恐ろしいなんて思っていなかった。何しろ四六時中、いつ死んでもおかしくない稼業だったからな。いちいち恐れていたら、未だに首が繋がってないだろうよ。今にして思えば、あまりにもそれに慣れすぎて、怖がってることも忘れていただけかもな」
「でも、確実に来る病の死は恐ろしかったから、故郷に戻ってきたのだろう?」
「ま、そうとも言えるかもな。もうすぐ死ぬって分かったら、ガキの頃を妙に思い出すようになった。……傭兵やってる頃は、その時の今を生き延びることしかなかった」

「……お前を憎んでいるし、赦すこともできない。でもお前を哀れんでいるのも本当なんだ」
 まるで自分に言い聞かせるように静かに言いながら、鎧を止める金具を繊細な指で外す。鎧が地面に落ち、押さえつけられていた美乳が乳首を上向かせてぷるんと揺れ出る。小手や長靴も外して、紐のような下着も抜き取った。幾度となく凌辱されてなお、高貴さを失わない滑らかな裸体で男の前に立つ。
「それで、哀れな男をどうするつもりなんだい、殺す前に最後の一発を味わっておこうってか」
 全裸のアンネロッテは、倒れた男にのしかかるように重なり、男の鎧と服を脱がしていった。
「お前は殺さない、でも、最後にお前にされたことを、私がしてやる」
「おいおい、本気かよ。そんなことをして、俺が喜ぶだけだとしてもか」
「私はお前とは違う、お前が嫌がることを目的にしたりしない。これはただ、私のためにするんだ」
「最後におれと一発やって、生かしておく。本当にそれでいいのか」
「そうだ、それが私の望みだ。殺してなんかやらない、最期まで、人間らしく死におびえながら生きればいい」
「人間らしく?」
「お前は私を、お前のような化け物にしようとしていたな、でも、私はそうはならない」

 アンネロッテは男の力の抜けた肉棒を剥き出しにすると、唇で咥えた。教え込まれた舌使いを駆使して、口の中でねっとりと亀頭を舐め回して刺激すると次第に熱く堅くなってくる。体を回して、男の体にと互い違いになると、股間を男の顔に押しつけた。
 むっちりと脂肪の乗った尻と太股の中心に花開く女の秘裂が男の眼前に迫った。この二月の間毎日犯されてきたとは信じられないほど可憐なピンク色で、繊細な銀髪の下よじれた花びらを綻ばせている。
 まだ湿り気にぬめる程度は、アンネロッテの濡れそぼり方としては、まだ始まったばかりだ。男は舌をのばして膣前庭を舌先でなぞるように刺激しはじめると、早くも女体がぴくっぴくっと反応し始め、鼻息が甘く乱れた。
 男が、更に愛蜜をあふれさせようと、秘穴の入り口を広げるようになぞったり、剥き出しにした肉真珠に吸い付いて、舌先で転がす。刺激から逃げようとする尻肉を両手掴んで抑えると、女体がのたうつのが柔らかく伝わってきた。
 アンネロッテも負けじと、屹立した男根を奥まで吸い込むと、音を立てて口を前後させ、可憐な唇を淫らすぼめて陰茎を刺激してくる。
 二人は互いの性器を貪り喰うが如くに、我を忘れて、唇と舌で刺激を与えあった。
「あんんっ、んはぁぁぁーんっ」
 ついにアンネロッテが、軽い絶頂に達する。ちゅぽんっと、男根を吐き出し、とがった乳首が上を向くほどのけぞって嬌声をあげた。

「もういったのか。本当に感じやすくなったな、これからこの体をもてあますぞ」
 そう言いながら小さく痙攣する体に浮き出たあばら骨を指先でなぞり反応を楽しんだ。
「ん、はぁっ、はっぁん、ま、まだまだこれからだ」
 アンネロッテは巨乳をぶるんと揺らしながら上体起こす。右手でへそを叩いていた巨根を垂直にして、先端に愛液の垂れ落ちる肉華を当てる。
「ふぅっ、うぅん、あはぁ」
 納めるべき肉洞の入口を捜して、亀頭をこすりつけるだけで、悩ましい喘ぎがこぼれる。

「んぁぁっ、ひゃうっ、あふぅ、私の中、いっぱい入ってくるぅ!」
 たっぷりと塗りつけられたぬめりに導かれて、探り当てた秘穴を押し広げてゆっくりと太い剛直が侵入してくる。
 今まで何度も味わわされた感触だが、その胎内に熱量と圧力を挿し込まれる衝撃には未だ新鮮さがあった。じっくりと味わうように、肉洞をうねらせ、剛直を締め付ける。男がうめき声を上げ、アンネロッテの頬を一筋の熱い涙が伝った。
(ああ、たまらない。多分もう私はこの女肉を貫かれる快感から逃れられない、こんなにも気持ちがいいのだもの)
 男の胸に手をつけ、背中をのけぞらすと、両乳房が、二の腕に挟まれてむにゅりと前に突き出される。桃色の先端ははじけそうなほど膨らんで誘うように震える。
 そのままゆっくりと尻を回し、腰をうねらし始める。さらに内部の筋肉を総動員して動かして、雁首を敏感な部分に擦りつけたり、肉棒を絞るように締め付けたりして、襞肉で味わう。
「あんっ、はぁぁっ、あふんっ、気持ちいいっ、はうぅぅっ」
 はしたなく開いた脚で美尻を上下に踊らせると、濡れ光る肉棒が、秘洞を貫いて出入りするのが男から丸見えだった。

 初めて自分の思うがままに快感を求めて、いやらしく腰をくねらせる。アンネロッテは長くじっくりと楽しめるようにゆっくりと慎重に動いた。それでも、開いた唇から甘い声が漏れ続き、時折、男が突き上げるように動いたり、目の前で踊る豊乳に誘われて、乳首をつまんでくると、一際高い声を上げてしまう。
 じっくりと時間をかけて味わう快感は、これまで犯されたときのように激しく押し上げるようではなく、まるで体が熱く蕩けて、男と溶け合い一つになるような心地良さだった。
「はんっ、うむっ、んちゅっ、はぃぃん、」
 下半身の結合だけで足りぬとばかりに、男にきつく抱きついて、乳首を胸板に擦り合わせ、突きだした舌を絡めては唾液を吸い合う。
 アンネロッテはさざ波のようにゆっくりと快感を高めていった。慎重に抑えても、何度か小さな絶頂に達する。その度にさめるどころか、敏感さが増し性感が高まっていった。自らの淫らさへの羞恥も、男への憎しみや恨みも忘れて、ただこの快感に溺れることのみに意識が塗りつぶされていた。
 それまでのように、快楽に押し流されないように自分を必死で抑制して保とうとする訳でなく、自らの制御で快感を高めていく。どこか安心感の下で味わう快感は、アンネロッテにこれまでにない幸福感をもたらす。
(ああっ、すごい。今までも凌辱では無く、こういう交わりだった良かったのに……)
 男の深く内心を悟らせない目を見つめながら、そんな事が頭をよぎる。
 それを振り払うように、アンネロッテは上体を起こした男に抱きつき、艶やかな唇で接吻を求める。下腹部を責める男根と同じように力強い舌が、アンネロッテの舌にからみつく。貪るように口を吸い合い、唾液を交換しあうと、かつてなく甘く感じる。
 柔乳房を男の胸板に押し潰し、こねるように回して先端を刺激すると、下半身からの電流に加わって増幅される刺激が全身に走る。
「んふぅっ、ふむううぅん。ぷはぁっ、あふぅぅん、凄いっ、溶けちゃうぅ」

 甘い拷問の如くに時間の感覚をなくし、永遠に続くように味わっていた官能も、ついに終わりの頂点の瞬間が近づいてくる。
 それを感じたアンネロッテは、豊満な尻たぶを打ち付けるが如くに激しく腰を上下させる。肉棒が抜けそうになるまで尻を上げて、一気に腰を落とす動作をリズミカルに繰り返す。引き抜かれるえらが、肉癖をえぐるように擦る。剛直がひくひくと蠢く肉洞を押し貫いて、奥の下がってきた子宮口を亀頭で叩く。一瞬ごとに痙攣するほどの快美感が全身を走り、アンネロッテは自分の体がばらばらに飛んで行くように感じる。
「んあぁぁーっ、んはぁぁぁっ、はんんっ、ああっ、はぁぁぁ、ああぅ、いくぅっ、いっちゃうぅぅぅっ!」
 アンネロッテは、体中を痺れさせる快感に吹き飛ばされそうに感じて、男の肉体ににしがみつく。乱れきってなお美しい顔が後ろを向くほどに首をのけぞらすと、吠えるような叫び声が喉から飛び出た。
「んんあぁ! んはぅっ! んああぁぁあぁぁぁ!」
 胎内の熱い剛直が脈打ち、粘液が子宮に染みこむように叩きつけられるのを感じた。
 視界が白く明滅し、体が雲の上に飛ばされて浮かんでいるような感覚の中、アンネロッテは多幸感に包まれた絶頂を極めていた。


「行くのか」
「ああ」
 呼び出したアンブロシアスの背に跨がり、消耗しきった様子の男を見下ろす。先程の快感の余韻がまだ残っている。もう二度とこの男にあの快感を与えられることはない。女体の奥底が名残を惜しんでいたがそれを押し殺す。
「こんなポンコツな体でまだ生きろとはな、忌々しい限りだ。お前が去った後、自分で首をくくって死ぬかもしれないんだぜ」
「勝手にするがいい、それもまたお前の報いだ」
 この決着の付け方が正しいことなのか確信がある訳ではない。だが、これしかなかったのだということは分かっていた。
「ふん、お前の望み通り怯えながら死んでいってやるさ。お前を犯してひいひい泣かせたのを思い出しては、自分を慰めてな。くくく、お前とやってる時だけは、止まりかけの心臓のことを忘れられたよ」

「お前は私を変えた。大きなものを失たけど、大きなものを得た。でも結局……」
 それから先は上手く言葉にできなかった。する必要もなかったかもしれない。
「私は私の道を行く、お前のような人間をこれ以上生み出さないためにな」
「それは無理だぜ。お前が女王を倒して英雄になっても、俺みたいな奴はこれからも生まれる」
「それでもだ」
(お前が私に植え付けた肉欲は、これから私を苦しめるかもしれないし、もしかしたら幸せにするかもしれない。でも私は私だ、この淫らな体でもって戦い抜いてみせる)
 そう言って、アンネロッテはアンブロシアスの馬体を回す。

「俺を、忘れるなよ」
 背中に飛んできた言葉に、忘れられるわけがない、と返しそうになって、思いとどまる。それは死にゆく悪鬼に対して、余りに甘過ぎると思ったからだ。


 しばらく後、仲間と合流したアンネロッテは、旅の商人からある噂を聞いた。
 ボレックと言う田舎村が傭兵崩れの盗賊団に襲われたという話だった。
「いやあ、でも、実際にあったかどうかも分からないですよ」
 興味を示したアンネロッテに、商人は恐縮したように言った。
「なんでも村を守る代官が盗賊達を撃退して死んだって話なんですけどね、その代官は病気で死にかけてたとか、実は盗賊団の仲間だったとか、村人に吊し上げられてた最中だったとか、あげく跳ね上げられた短剣がたまたま盗賊団の首領の頭に落ちて突き刺さったとか、辻褄の合わない尾鰭ばっかくっついてましてね。ま、閉鎖的な田舎の話なんで、何が本当なのやらさっぱりなんです」
「……そうか、真実は闇の中か」
 アンネロッテは小さな心の痛みを感じた。
(死ぬべき男が死んだだけだ。でも、もしかしたら、もしかしたらあの男も、最後は騎士として死んだのかも)

Fin


→ BACK
→ NEXT
関連記事

*    *    *

Information

Date:2014/01/18
Trackback:0
Comment:7

Comment

*

完結、乙でした!
濃い内容でしたが出来れば

>子供達に、尻と尻穴をさんざん嬲られ。
>最後には女の秘穴を弄っていかせて欲しいと懇願させられてしまい
>子供の手で潮を噴きながら絶頂させられてしまうのだった。

この辺を詳しく読みたかったですw
2014/01/19 【Nanashi】 URL #- 

* Re: タイトルなし

最後までお付き合い下さり、ありがとうございます!

そこら辺も一瞬書こうかなとは思ったのですが、それをやっているといつまでたっても完結できなさそうだったのでw
第7.5章みたいな形で、後付け追加ってことも考えてはいるのですが、新作の方も書きたいので、あまり期待しないでいてください。
2014/01/20 【蒼井カッコウ】 URL #- 

* 1/23拍手コメントへのお礼

拍手コメントで大変暖かいご感想をいただき、どうもありがとうございました。
筆力不足で表現したいことを上手く伝えられてないのではないか、という不安を押し殺して上げた最終章でしたが、丁寧に読み取って頂けていることは、本当に励みになります。
書く速度も含めて精進していきますので、これからもどうぞよろしくお願いします。
2014/01/27 【蒼井カッコウ】 URL #tHX44QXM [編集] 

* 感想です

久々に足を運んだら、丁度更新されていたので、早速読ませていただきました。性交の描写が濃厚でアンネロッテの美貌をこれでもかと言うぐらい凌辱するのが面白かったです。それでは、次回の話も楽しみに待っています。
2014/02/08 【サシス】 URL #aghQ/S3w [編集] 

* Re: 感想です

感想どうもありがとうございます!
やっぱり性交の描写は一番熱の入るところですので、楽しんで頂ければ嬉しいですね。
あまり長々と描写しても、くどくて読みにくいかなと思う時もあって、バランスをどうとるかが難しいですね。
まあ、実際は書く時の勢いそのままで良しとしちゃってる面もあるのですが。
聖娼アイドル ニンフェの方もよろしくお願いします。

2014/02/09 【蒼井カッコウ】 URL #- 

*

無事完結! 
ラストは、ベルトランの意地か、アンネロッテの女心か?

ベルトランよ、『焦らなくとも死ぬ時にゃ死ぬさ……』
アンネロッテよ、『在るがままなり……』

この二人の対比が実に良かった。


(ただ、アンネロッテ、夜毎、あれほどに濃密なまぐわいを繰り返しては、確実に身籠る → 『子連れ狼』化、若しくは『桃太郎ザムライ』化
というのも期待した。
2014/04/25 【】 URL #- 

* Re: タイトルなし

感想どうもありがとうございます、承認が遅くなって済みませんでした。
この二人の微妙な関係を読み取って貰えると、なんとか書ききった甲斐がありました。


実はベルトランの病気のせいで、中出ししても妊娠しない設定があったのですが、作中で説明するの忘れてました。
まあ、それをベルトランが明確に認識しているってのも変なので、それで良かったかもしれません。
でも、あれだけ中出しされまくってたのですから、妊娠しちゃう恐怖ってのを使っても良かったかも。
2014/05/05 【蒼井カッコウ】 URL #- 

コメントの投稿








 ブログ管理者以外には秘密にする

Trackback

TrackbackUrl:http://aoikakkoh.blog.2nt.com/tb.php/38-bf742528
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)