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カッコウの官能小説劇場

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□ 聖娼アイドル ニンフェ □

序章(仮) リ・デビュー 2

-2-

 彼は暗闇の中、夢見心地で呆然としていた。
 今や日本中から愛され憧れられていると言っても過言ではない彼女達である。お茶の間のテレビに登場しない日はない、日本で最も美しい少女達が、ストリップショーのように裸体を自ら観客に晒したのだ。
 現実にあったこととは到底思えない。もうすぐ、学生時代から住む安アパートのベッドでパンツを濡らして目が覚めるんじゃないかと、本気で思っていた。

 夢見心地を破るように、暗闇から舞台上のスクリーンが光り出す。
 舞台の上から少女達は既に消えていた。
 滑らかな女性の声でアナウンスが流れ、スクリーン上にはそれに沿った映像が映し出された。
『古来より、芸能は性と分かちがたく結びついていました。
 歌を詠み舞を舞って権力者の寵愛を受けた白拍子。猿楽を舞い、性器に見立てた鰹節で神との交合を演じた伏見稲荷の阿小町。出雲の阿国から始まる女歌舞伎は幕府に禁じられるまで春を売る遊女が踊っていたのです。
 芸事教養を幼い頃から仕込まれた吉原の花魁は、数多くの芝居のヒロインになり、近代以降も、芸者が華やかに歌い踊った花柳界が政治や文化の裏舞台となりました。
 芸を磨いて非日常的な美しさを体現する女達は、性的な存在である一方、文化の発信源でした。人々に憧れられる偶像、正にアイドルだったのです。
 しかし現在の公序良俗の下では、アイドルは性的な存在であることを許されません。芸能の持つ、根源的な性の力は抑圧されているのです。
 これでは、芸能の真の力を発揮できない。人々を非日常に運ぶという役割を果たせません。
 我々イシュタル・プロモーションは、芸能の真の力を発揮する古代の巫女のようなアイドルを世に出したいと願いました。エロスの力を体現する本物のアイドルを!』

 彼は、いきなり始まった突拍子もない話を、ぽかんとしながら聞いていた。
 呆けた頭はうまく回らないが、先程の自分の感じた激しい興奮を思い出すと、なんとなく言っている意味が分かる気もした。

 スポットライトが再び舞台を照らすと、三人の美少女がポーズを取っていた。
 古代ギリシャ風のチュニックワンピースを着て花冠を頭に乗せている。薄くて軽い純白のチュニックは、繊細なドレープを作り、本当に伝説の妖精ニンフェのようだ。
(可愛いなあ、あの衣装凄く似合ってる。……でも、生地が薄すぎないか? 体のラインが透けちゃってるよ。生足にミニスカ丈だし)

『ニンフェがデビューしてから一年、皆様の暖かいご声援のおかげでアイドルとして大きく羽ばたくことができました。
 しかし、川端千尋、高遠志織、友利日菜という素晴らしい才能、それを世間の常識に縛られた活動だけに止めておくのはあまりに惜しい。
 一部の特別な人達にだけでも、彼女たちの美しさを余すとこなくお見せしたい。
 我々はそう考え、今日ここにニンフェ達が真の活動を開始することを発表します!!』

 スクリーンが派手に明滅して、デザインされたフォントの「聖少女ニンフェ」の文字が大きく浮かび上がる。すると、「少」の字が歪んで「娼」の字に変化した。「聖娼女ニンフェ」である。その下に「Re Debuet」と描かれる。

 先刻、上半身のヌードを披露した千尋は、恥ずかしそうに、それでも笑顔を作って挨拶をした。
「皆さん、改めて、私達に会いに来てくれて、どうもありがとうございます」
「みんな、ビックリしたかな? したよね……、凄く……」
 志織もぎこちない笑顔を作って観客に話しかける。
 陽菜も前に出て何か言おうとしたが、緊張と、羞恥のせいか、目に涙を浮かべて口を開いても声が出ない。
 うつむいてしまった陽菜をフォローするように、千尋が引き継ぎ、志織は陽菜の肩を抱く。
「先程発表がありましたように、私達は……ここで、もう一度デビューいたします。普通のアイドルとしてではなく、もう一つの裏のニンフェとして」
 その千尋も、微かに膝が震えていた。
「それは、あの……皆さん、さっきのステージで、今までと違うことにお気づきだと思いますが……」
 そこまで言うと、少女は言い淀み、深呼吸した。
「……私達ニンフェのセクシーな姿を楽しんでもらいたいと思います」
 千尋はそう言うと、耐えられなくなったように目を伏せた。
「す、すっごく恥ずかしいですけど、頑張りますから、お、応援して下さい」
 助けて貰った陽菜が、なんとか挽回しようと、どもりながらも声を出す。


 彼は、大好きなアイドル達が必死に羞恥に耐えている様子を見て、激しく混乱していた。
 憧れの少女達は、言葉とは裏腹に。性的な見世物にされることには抵抗があるようだ。うら若き乙女としては当たり前だろう。
 だったらファンとしてそんなものを望むべきではない。最も尊重し、守らなければならないのは、彼女達自身の意思のはずだ。何故、彼女たちが、このような卑猥な目に遭っているのかは分からないが、そんな事を強制させるのは絶対に許せない。
 しかし、恥ずかしそうにしながら、薄布をまとう彼女たちの美しさ、可愛らしさはどうだろう。彼女たちが恥じらいながら、その美しい体を露わにすることを考えただけで、先程の興奮が蘇り、再び肉棒がガチガチに固くなる。それを見る機会を拒否をすることは、彼にはどうしてもできそうになかった。

「みんなー、私達のエッチなところ見てみたいかなー?」
 志織が真っ赤になった顔を無理に上げて、自分を鼓舞するように挑発的に言う
 観客の中から、「見たいー!」「見たいぞぉぉぉぉぉ!」という気の狂ったような大声がいくつか挙がる。すると、それに同調するような拍手が始まり、それはすぐに奇声や口笛混じりの万雷の音量になった。
 そして結局彼も、その会場の雰囲気に飲まれる事にした。
(と、とにかく今は見守るしかない、ニンフェ自身がやっている事なんだし……。大体ここで暴れても、つまみ出されるだけだろう。怒ったり、抗議したりするのは、後で判断しよう、そうしよう)

 舞台上の三人の美少女は、トップアイドルとして受けてきた憧憬とは異質の、淫猥な熱気と視線に晒され、怯えるように身を寄せ合う。
 ようやく拍手が収まり始めると、やや引きつった笑顔で三人は観客に応える。
「皆さん、ありがとうございます」
「あ、ありがとー」
「それと、このシークレットライブは、少数の選ばれた人だけしか招待されません。
 このことは、絶対、ぜ~ったい秘密にして下さいね。そうしないと表のニンフェ自体が活動できなくなってしまいます」
「私達の、恥ずかしい姿が見られるのはシークレットライブだけだから。本当に、ここだけの秘密にしておいてね」
 それに対して、観客は吠えるような歓声で応える。


「それでは、皆さん聞いて下さい。HONEY HIP STING」
 アップテンポな前奏が大音量で流れ始め、三人の妖精は踊り始める。
 マイクは花冠にカモフラージュされ、伸びた蔦と蕾の形をしたヘッドセットだ。自由な両手を大きく振って、伸びやかに元気よく踊る。
 短めのチュニックの裾から伸びた白い生足が、軽快にステップを踏む。薄手の衣装は光の加減で艶めかしい女体の凹凸を透けさせ、薄布を押し上げるふくらみが上下に跳ね回る様もはっきり分かる。

 この歌は蜜蜂をテーマに、好きなのに素直になれずに憎まれ口を叩いてしまう女の子の気持ちを歌うポップチューンだ。甘い蜜をあげたいのに、つい針で刺してしまう、そんな乙女心を歌う、ダンスも可愛い曲だった。
(確かこの曲、お尻を振って見せる振りがあるぞ、しかも何度も)
 明るくコミカルな曲調なので、普段のニンフェの衣装なら健康的な微笑ましさが強調される。
(で、でも、この衣装で踊ったら、凄い事になっちゃうんじゃ……)
 薄いミニ丈のスカートが腰の動きにひらめいて、彼のパンチラの期待を煽った。
(スカートで激しい曲を踊る時は、いつもショートパンツを履いてたのに……)

 期待のパートに入る直前、素早いターンを決めた時、薄いミニ丈のスカートがふわりと広がりめくれ上がる。
(!?)
 予想を裏切って、一瞬露わになったのは、高く形良く突き出た、ぷりんとした生尻だった。
(ち、千尋ちゃんのお尻! まさか、Tバック!?)
 清楚そのものの美少女が、似つかわしくない過激な下着をまとっている。そのことだけで、彼の興奮は高まり、心臓が急ピッチで動く。
 そして腰を突き上げるように、お尻を強調して左右に一回ずつ振ると、薄布は跳ねるようにめくれて、美少女のまろやかな尻を見せつけるのだった。
 ひらひらと翻る布に見え隠れする、柔らかな臀部を一瞬たりとも見逃すまいと、彼は目を見開いて凝視した。
 再びくるりとターンして前を向いた千尋の顔は耳まで真っ赤だった。他の二人も同様である。剥き出しの尻たぶに舞台の空気と刺すような熱視線を感じたに違いない。
 それでも、少女達は歌を止める事無く、肢体を振り続けた。
 徹底的に体に叩き込んだ稽古の成果か、恥ずかしさを忘れるために集中しているのか、見事な動きで可愛いらしく華やかに、楽しさを表現する。
 だが、必死にいつものように明るく笑おうとする美少女達の笑顔には、隠しきれない羞恥心が、紅い頬や潤んだ瞳に表れていた。
 
 そんな可憐で卑猥なパフォーマンスに事件が起こる。
 曲の締めくくりに、半円に並んだ三人が、背を向けてから上半身をよじって、前を向く。ウィンクをしながら、腰をリズミカルに振って、お尻互いに軽くぶつけ合う振りだった。
 羞恥が限界に達していたのか、ようやく一曲終わると油断したのか、一番年下で三人の中でもマスコット的に可愛がられている陽菜が、千尋とお尻をぶつけ合った瞬間、よろめきバランスを崩す。
「きゃっ」
 曲のラストの金管とドラムが鳴る中、前に倒れて手を突き四つん這いになる。
 短いスカートは腰までめくれ上がった。未成熟で、鞠のような弾力を感じさせる、健康的な桃尻を前に突き出すように、観客に見せつけてしまう。
 小さな三角形の下着で辛うじて秘所は隠れていたが、可憐な妹系アイドルのはしたないバックスタイルに、観客は大盛り上がりで大歓声を送る。

「やあん!」
 慌てて千尋に助け起こされ、前を向いた陽菜は、真っ赤になってうつむいてしまっていた。
「ごめんね、強く当てちゃった?」
「ううん、私がぼうっとしてたから……」
 小声でやりとりする声もマイクに乗ってしまう。

「あ、あの、ごめんなさい、ちょっと失敗しちゃいましたぁ」
 陽菜は頬を紅潮させながらも、笑顔を作って観客にお辞儀をする。
 今までのステージでも、時にはアクシデントが起こる事もあった。そんな時も、前向きな可愛らしさとチームワークでフォローするのがニンフェだった。
 しかし、観客からは「陽菜ちゃん可愛いー!」「頑張ってー!」というお決まりの声援に混じって、「綺麗なお尻だったよー」「もう一回見せてー」などと言う言葉まで飛び出す。
 普段は元気が弾け出るような明るいショートカットの美少女は、また真っ赤になって顔をうつむかせてしまう。

(酷い事言うなよ、陽菜ちゃん可哀相じゃないか……)
 彼は下品な野次を飛ばす輩に憤るが、先程目に焼き付けたの美少女の卑猥な姿を、舞台上で消え入りそうな程恥じ入る可憐な様子に重ね合わせると、興奮がいや増すのを止められなかった。

『あらあら、陽菜ちゃん駄目じゃない。本番中に転んだりしちゃ』
 突如スピーカーから女の声が響く。どこか楽しむような色気のある美声で、先程のアナウンスと同じ声だ。
 舞台上の三人がはっと顔を上げた。
『実は今回のイベント、ステージ上で何かミスをした場合、ペナルティがある事になっているんですよお。三人とも、忘れてないわよね?』
 それを聞いたアイドル達はステージの上で怯えたように身を寄せ合う。
 これが普段のイベントならば、大げさに怖がって見せたりするところだ。
 しかし、陽菜はわななくようにして大きな目を見開き、志織は悔しげに唇を噛む、千尋は目をつむり、固く握った両手を重ねて胸に押し当てていた。

 三人は互いの顔を見てアイコンタクトを取る。何かに怯えたような表情で、少し悲しげな決意を込めてうなずき合った。
「は、はい、あの、皆さん……」
 陽菜が何かを振り切るように大きく前に一歩踏み出したが、途中で言葉が途切れる。
 仮面を着けた観客は固唾をのんで見守った。
 しかし、その猥雑な期待の高まりに気圧されたのか、陽菜は緊張した面持ちで震えている。両手を胸の前で強く握って、何か言おうとするのだが、上手く声が出せない。
 見かねた千尋と志織が両脇から陽菜の肩と腰に手を回して、抱き支えるように励ます。
 陽菜は目をぎゅっとつぶって深呼吸すると、絞り出すように言った。
「ペ、ペナルティは……、一つ失敗する毎に、ふ、服を一枚脱ぎます……」
 それだけ言うと、視線から逃げるように隣の志織の豊かな胸に顔を埋めてしまった。

(ま、まさか、今でも十分きわどい恰好なのに、ここで一枚脱いだらどうなっちゃうんだよ)
 どよめく観客の中で、彼は思わず生唾を飲み込む。

「も、もちろん、陽菜ちゃんだけじゃないわよ。連帯責任で私達も一緒に服を脱いじゃいます……」
 陽菜を慰めるように抱きしめながら志織が紅い顔で宣言する。

『はーい、そういうことね、今まで一つもミス無しで頑張ってきたけど、しょうが無いわよねえ。今ニンフェが着ているのは、その可愛いチュニックと、ハーフカップのレースブラ、それとおそろいのTバックパンティの三つだけ。サンダルとかアクセサリーは脱ぐものに入らないわよ』
 そこで、少し間が空く。どうやらヘッドセットを通じてアイドル達に指示が飛んだらしい。
 身を寄せ合っていたアイドルが名残惜しそうに離れる。そして着ているものを見せるために一人ずつくるりとターンを決めて、それぞれグラビアで撮るようなポーズを取った。

『チュニックを脱いだら、かなりセクシーなランジェリー姿になっちゃうわね。ブラをとったら、大きなおっぱいが透けちゃうかも。パンティを脱ぐと……スカートがめくれたら大変な事になるわねえ』
「あ、あの、ブラでお願いします!」
 陽菜が間髪入れずに叫ぶ。ノーブラの上に薄着となっても、他の二つよりかはまだ恥ずかしくないという乙女の消去法なのだろう。
 千尋と志織もうなずいて同意する。
『あら、みんなブラジャーがいいの? 確かに、もう皆さんにおっぱいは見て頂いているものね。透けるくらい全然平気かしら』
 そう言われて、三人の乙女は舞台上で恥ずかしそうに胸を押さえて横を向く。
 彼も含めて観客達が先程開陳されたの美乳を思い出しているように、アイドル達も激しい羞恥が蘇っているに違いない。

「は、恥ずかしいけど! この中ならブラしかないわ」
 志織が他のにされないうちに、という感じで手を後ろに回してホックを外そうとする。しかし、白い仮面の中から飛ぶ視線が自分の巨乳に突き刺さるのを感じたのか、ビクッと体をすくませる。

『だめよ、志織ちゃん。勝手に決めちゃあ。折角ファンの方々がこのイベントに参加して下さっているんですもの。会場の皆さんに決めて貰いましょう』
 固唾をのんで見守っていた観客席に波紋のようなどよめきが伝わる中、ニンフェたちは一様に驚きの声を上げた。
「ええーーーっ」「聞いてないです……」「そんなぁ!」

『はーい、皆さん、座席の裏側にリモコンがセットされてるんですが、取り出してみて下さーい』
 アナウンスの言われるまま、彼が中腰になり座作の裏を探ると、ケーブルで繋がれたプラスチックの直方体がマジックテープで留めてある。剥がして持ってみるとAからEの文字が書かれたボタンが五つ並んでいた。
 ステージのバックスクリーンが点灯する。3:00という時計表示と、A=チュニック、B=ブラジャー、C=パンティ、と言う文字が上から並んで映し出された。
『それじゃあ、ファンの皆さんは、ニンフェのどんな姿が見たいですかあ? 一番投票数の多かった服を脱いで貰いまーす。締め切りは三分後、最後に押したボタンだけが有効ですので途中で変えてもOKですよ』

 ニンフェ達は、本当に驚いているようでほとんどパニックを起こしていた。
「そんなぁ、ど、ど、どうしよう? どうすればいいの?」
「あ、あの、Bを選んで下さいね」
「ひ、陽菜の一生のお願い! 他のは嫌なの、Bにしてね」
「せ、せめてAにして下さい、Cだけは絶対に駄目です!」
 
 美少女達の必死の懇願を目の当たりにして、彼も又激しく動揺していた。
 先程はアイドル達の羞恥ステージを見守るしかないと思ったが、突然に憧れの存在を辱める権限を渡され、参加する事になってしまったのだ。

(ど、どうしよう、Bだよな、あんなに頼んでるんだもの、ファンとして男として当然だろ)
 そう考え、彼は断固としてBを押そうとした。
 しかし、どうしても押し切る事ができない、強い思いが彼の指を押しとどめる。
(もし、パンティを脱いで踊ったら、見えてしまうかも……千尋ちゃん達のあそこが)
 童貞である彼は、未だ女の秘密の場所を実際に見たことが無かった。せいぜいビニ本や裏ビデオで、美人とも言えない女性のそれを見たことがあるだけだ。
 その淫猥なグロテスクさは、彼を興奮させたが、自慰の後の空しさと自己嫌悪を増大させもした。
 そんな時には、憧れのアイドルのその部分を夢想した。実際には決して本物を見る事などないだろうと分かっていても、想像せずにはいられなかった。

 しかし、今、思いもかけない形で夢想が実現するチャンスを与えられた。何百分の一の権力だが、地上に舞い降りた天使に破廉恥を強いる事ができるのだ。
 彼女たちの秘密の女性自身は一体どういうものか、美しいのか、醜いのか、それを自分の目で見て確かめたい、その欲望が苦しくなるほどに膨らんで、彼はどうしてもそれに抗えない。
 そして舞台上のアイドルの秘部を隠そうとする必死さが伝わるほど、その秘密の部分を暴き、見たいという誘惑が、力を増して彼の中で荒れ狂う。
 ぶるぶると震える指がずらされ、彼はついにCのボタンを押した。
(ああ、ごめん千尋ちゃん、志織ちゃん、陽菜ちゃん……)

『さあて二分経過して残り一分。現在の投票数はこんな感じでーす』
 アナウンスの声が響くと、スクリーンの文字の横にデジタル数字が表示される。
 A:87 B:123 C:141
『あららら、意外や意外、結構ばらけてます。でもやっぱり、一番人気はCですねー』
 数字を確認したニンフェは、悲鳴を上げた。


「み、皆さん! 聞いて下さい」 
 二度ほど大きく深呼吸をした千尋が、ステージ中央の縁に立ち、大声で呼びかけた。
 男達の欲情と期待に満ちた視線が、薄布をまとった、たおやかな美少女に集中する。
 形の良い頬を赤く染め、黒目がちの瞳は潤んでいる。しかし、千尋はひるむ事なく真っ直ぐに観客達を見つめた。祈るように両手を胸の前で握った少女は、妖精のように儚げでありながら、高貴なまでに凛々しかった。

「私達、まだそこまでの心の準備ができていないんです。恥ずかしい恰好でも、皆さんに満足して貰えるよう、頑張って可愛く歌います。だから、お願いです、パンティを取るのは許して下さい。私達を好きでいてくれるなら、どうか猶予を下さい……」
 
 絶世の美少女の真っ直ぐなな懇願が、彼の心を打つ。清楚な千尋が、こんな恥ずかしいお願いを口にするのにどれだけ勇気を振り絞っただろう。
 それに比べて、仮面で顔を隠し、集団に紛れて、劣情を押しつけようとする男達の何と卑怯な事か。ファンの風上にも置けないと、先程までの自分を恥じ、周りの仲間達に憤った。
『6、5、4、3、2、1、……』
 いつの間にかアナウンサーのカウントダウンが始まり、その間もスクリーン上の数字は目まぐるしく変わる。千尋の訴えに、BとCの数字がシーソーのように上下していた。

 アイドルに対する崇拝にも似た憧れが蘇った彼は、歯を食いしばって内心の嵐に耐える。千載一遇の機会を逃した一生の後悔になるかもしれない、という予感を必死に押さえつけた。
『0』
 その瞬間彼の指はBを押していた。スクリーン上の数字は、A:87 B:206 C:207だった。

 志織と陽菜は手を取り合って喜ぶ。千尋は何も言わずに、観客に向かって深々と頭を下げた。



『あらまあ、良かったわね。会場の皆さんが紳士なファンで。それじゃあ、三人とも、ブラジャーを脱ぎましょうか。お願いを聞いて頂いた感謝の心を込めながら、脱ぐのよ』
 そうアナウンスが響くと、三人は喜びから一転はっとする。最良の結果ではあっても、これはペナルティだったのだ。
 三人はステージの縁に埋め込まれたされたプロンプターを見た。ライブ中歌詞等を表示するモニターで、演者の方向に向いているので、観客席からは見えない。どうやら、そこに何か指示が表示されているらしい。
「そ、そんなこと」
「いやぁ、恥ずかしい……」
 千尋と陽菜が微かに声を漏らすと、暫く三人は沈黙した。

「あ、あの、私から脱ぎます、陽菜ちゃんは最後で……」
 突然志織が言うと、舞台中央に進んだ。舞台が暗くなり、スポットライトが栗毛の少女にあたる。くっきりとした顔立ちと衣装が相まって、まるで本当にギリシャ神話の女神のようだ。
「皆、お願いを聞いてくれてありがとう。折角だから、取る前にどんなブラか見せてあげる」
 そう言って志織は、チュニックの肩から腕を抜いていく。チュニックの上半身が腰に留めたベルトの所までするりと下がり落ちた。
 なよやかな肩の下、山のように大きく盛り上がった巨乳が露わになる。薄いブルーのストラップレスブラはハーフカップで、深く柔らかい谷間はほとんど剥き出しである。

(やっぱ志織ちゃんのおっぱい、凄い大きさだ! 激しく踊ってて、どうしてあんなブラからこぼれ落ちないんだろう)。
 志織は、一瞬腕で巨乳覆うように隠すが、すぐに手を下ろして、にっこりと笑った。
 プロのアイドルらしい、輝くように美しい笑顔だが、日本人離れした白い肌がピンク色に上気して、お腹の前の手は少し震えていた。
「ど、どう、可愛いでしょ、このブラジャー。私は胸が大きいのであんまり可愛いのがないんだけど、今日のための特注品なの……」
 そう言って、志織は腕を後ろに回して胸を更に前に突き出すと、砲弾型の巨乳をゆさゆさと揺らして見せた。志織は、一瞬目を固くつぶったが、又慌てて笑顔を作り直す。
 それはファンにとっては衝撃的な光景だった。
 志織はそのエキゾチックで整った美貌とは裏腹に、明るく気さくな親しみやすい人柄で知られている。ラジオ等でも盛り上げ役になる事が多い。ただ、その大きなバストはコンプレックスらしく、話のネタにされるのをかなり嫌がっている風だった。一度だけ、胸が大き過ぎるせいでモデルの道を諦めたと、こぼした事があった。
 そんな志織が巨乳を見せびらかすが如く、はしたなく自ら揺らして見せているのだ。 
 彼は志織の内心を慮りながらも、大迫力の肉巨峰から目が離せない。
 しかし、中には無神経な奴がいる。口笛を吹いたり、「おっぱい、でかーい」「ぶるんぶるんだー」「サイズはどれくらいー?」等と、わざと恥ずかしがらせるような事を叫ぶ観客もいた。
 志織はそれを聞いて、潤んだ目で軽く睨み付けたが、又笑顔になって、
「サイズは、秘密。でも、特別にブラのカップだけ教えてあげる。……Hカップです」
 観客が大きくどよめく。
(あ、あれがHカップのおっぱいなのか……Hカップなんて聞いた事もないよ)

「さーて、それじゃあ、脱いじゃおっかな」
 そう言って志織は、左腕で巨乳を支えるようにブラを押さえ、前屈みになって背中に右手を回す。重力に引かれた巨乳が腕に潰され、その柔らかさを見る者に伝えた。
 その間も笑顔を絶やさず、観客の方を向いているが、頬の赤みは一層濃くなっていた。
 静まりかえる中、ぷちんと音を立ててホックが外れる。ブラを支えるベルトが外れ、前に垂れ下がる。上体を起こした志織は、胸を押さえたままブラを抜き取った。
 細い左腕一本では、巨乳を隠すのに十分とは言えず、下乳の丸みに観客の視線が突き刺さる。
 志織は、ふうっと溜息のような息を吐きながら、ブラジャーを舞台袖に放る。
 自由な右腕から、チュニックに袖を通し、今度は右手で左胸を隠しながら左手を通した。
 観客達は、淡い色の乳首がこぼれ落ちてくるのではないかと、固唾をのんで見守っていたが、慎重に動く志織は先端を守ったままチュニックを着直した。
「はいっ、これでおしまい。ノーブラになっちゃった。恥ずかしいから、あまり見ないでねっ」
 言葉とは裏腹に、最後に志織は上体を上下に動かし、また乳房を揺らして見せる。
 薄布ごしにも、押さえのなくなった肉巨峰が、互い違いに大きく揺れるのが分かる。
 その山頂が押し上げ、先端の形を浮かび上がらせていた。
 そして耳まで真っ赤にした志織は、後ろを向くと、口を押さえて逃げるように小走りに下がった。


 その後千尋と陽菜も同じ様に、胸の膨らみをはしたない見世物にして、ブラジャーを観衆の目前で脱ぎ取って見せた。

 基本的におとなしいお嬢様タイプである千尋は、どうしても羞恥心がブレーキになるようだった。Fカップだと告白した形の良い胸を突き出したものの、思い切り揺らして見せる事が、なかなかできなかった。しばらく小刻みにふるふると揺らした後、真っ赤になりながら、ジャンプをするようにして大きく揺らしていた。

 素直な陽菜は、笑顔を保つのが辛そうだったが、元気良く胸を揺らして見せた。ただ、ブラジャーを引き抜く時、勢いが強すぎて乳房が腕から飛び出てしまい、Eカップだと知られたお椀型おっぱいを観客に全て見せ、可愛らしい悲鳴を上げた。

 そして、トップアイドル達はブラジャーを脱ぎ去りが舞台上に並んで立った。
 チュニックの胸回りはそれなりに余裕のある作りになっているのだが、標準より豊かな膨らみが薄い布を思い切り押し上げ、先端の突起の形を浮かび上がらせてしまう。
 羞恥心を滲ませながら笑顔を作る少女達は、妖精のような清らかさでありながら、押さえがたい色気をはなっていた。

「それじゃあ、次の曲へ行きたいと思います、聞いて下さい」

 ギターソロから始まるイントロで、女の子の友情を切なくも力強く歌う「STAND!」だと分かる。ニンフェの曲では珍しいロック調の曲だ。
 計算されたライトの動きの中、三人はぴたりと息の合った動きを見せ、高らかに歌い始めた。

(す、凄い、おっぱいがぶるんぶるん揺れてる!)
 ブラジャーから解放された少女達の豊乳は、ダンスに合わせて、慣性の赴くまま上下左右に激しく動いて、その存在を激しく主張する。
 乙女達に、それが気にならないはずはない。しかし、あくまでも歌の世界を表現すべく、普段通りに伸びやかに歌い踊る。
 彼は彼女たちのプロ意識に感心するが、それが一層、乳房を揺らし踊る事態の異常さを強調させ、その部分ばかり目で追っていた。

 しかし曲も終盤にさしかかった頃、志織に事件が起きる。
「きゃぁっ」
 
 激しい動きの最中、チュニックの右肩の留め金が外れてしまったのだ。Hカップの動きの重さに耐えられなかったらしい。
 右半分の布が斜めに垂れ下がり、観客の目の前に白い巨峰とピンク色の先端が跳ね踊る。
 さすがの志織も小さく悲鳴を上げて、慌てて布を引っ張って直す。その直後、はっと表情を硬くする、取り返しの付かないミスをしてしまった時のように。

『志織ちゃーん、だめじゃない、ダンスを止めちゃあ。あのまま踊っていれば大丈夫だったのに』
 歌が終わった後のアナウンスは無情だった。
 志織は大きな胸を抱くように押さえ、何かを言い足そうにするが、唇を噛んで黙る。そして、小さく「ごめんね……」と呟くのみだった。
『それじゃあ、皆さーん、今度はどちらを脱がしたいですか? チュニックかパンティか、決めて下さいね』
 そう言ってスクリーンにはA:チュニック、B:パンティ、と表示される。

「いやぁっ、そんな……」
「ああ、許して……」
 陽菜と千尋が小さく、絶望的に呟いた。
『時間も押しているので、制限時間は三十秒。皆さん本能のおもむくままに決めちゃって下さいね』

(ど、どうしよう……。チュニックを取ったら、三人ともTバック一枚のほぼ全裸に。でもパンティを取ったらあそこが……)
 千尋にとってはどちらが嫌なのだろうと、考える暇もなかった。そもそも、彼女たちも選べなかっただろう。
 カウントダウンの最後、彼は期待に爆発しそうな心臓を押さえて、ほぼ無意識にボタンを押した。

『さーて、結果は……こちらです!』
 A:183 B:217
「きゃあああっ」
 結果が表示された途端、三人の足下に、小さな布きれがはらりと落ちる。その三角形の布は、間違いなく先程まで少女の股間の柔肉に貼り付いていたものである。何か仕掛けがあったのか、サイドの紐がほどけて落ちたらしい。

「ああっ……」
 アイドル達は思わず短いスカートの裾を押さえて恥じらう。
 羽のように軽く舞い上がってしまうスカートの下、最早柔らかい股間を守るものはなにもないのだ。
 
『これでノーパンになっちゃったわねえ。でも、だからといって恥ずかしがっちゃ駄目よ。もしミスしたら、もっと恥ずかしい事になっちゃいますからね』
 アナウンスが残酷に宣告すると、アイドル達はびくっと震え、絶望と恥辱の表情を浮かべる。
「い、いや……、こんなの絶対無理……」
「陽菜ちゃん、頑張りましょう……」
 陽菜が小声で泣くような言葉を漏らし、千尋が心配そうに肩を抱く。志織は、唇を噛んでうつむき、微かに震えていた。

(結局パンティを脱がされちゃった。千尋ちゃんがさっきはあんなに必死に頼んでいたのに、可哀想だ。やっぱりあそこを見られるのは、辛いんだろうな)
 うら若き乙女達の胸の内を思うと、彼は心が痛む。しかし、同時に、期待と興奮が押さえようもなく膨らみ、股間を硬くさせた。

「そ、それでは次の曲、『Heart』です。あ、いえ、少し待って下さい……」
 千尋が、曲紹介をしようとすると、またイヤホンごしに指示を受けているらしく、他の二人も顔を上げた。
「失礼しました、次の曲は『夕立ち』です……」
 
 弦楽器によるイントロが流れ出し、三人が爽やかな夏休みの恋愛ソングを歌い出す。
 それほど激しい振りのある曲ではないが、それでも、あの危ういスカートの軽さなら普通のステップでもめくれそうだ。
 彼は目を見開いて、ひたすらにひらひらと揺れる裾を凝視した。他の観客も同じように儚げな薄布とその下に視線を集中させる。男達の邪な期待で集中して、会場の温度が数度上がったような気がした。

 曲のサビの部分に入った時、ステージの後方で水が噴き出し、照明が当てられきらきらと光る。
『突然の夕立ち浴びて、笑い転げる君と僕、何があんなにおかしかったんだろう~』
 この間のデビュー一周年ライブでもあった演出だが、こんな小さなライブハウスでもやるとに驚く。
(こんな小さいステージじゃ、水がかかっちゃうんじゃ……)
 彼の心配通り、ニンフェが大きくステップしながら歌うと、ふり注ぐ水を浴びてしまう。少女達はそれを嫌がるどころか積極的に、濡れに行っているようにすら見える。

(あんな服で濡れちゃったら!)
 水しぶきを受け、濡れそぼった白い薄布はぴったりと、美少女達の体に貼り付いた。ほとんど裸と変わらないほど、柔らかな体の曲線を強調する。上下に踊る胸の先端で尖る乳首の桃色すら透けて見えた。
 柔肌は水滴を弾いて流れさせ、美少女達は恥じらいながらも歌い体を躍動させる、神秘的なまでに美しい光景で、彼はしばらく恍惚と見とれていた。

 ふと、彼はある事に気がついてうめいた。
 スカートが水を吸って重くなり、さらにはふとももに貼り付いて、先程のようにはひらめかないのだ。乾いていた時に比べると、その下が見えるほどめくれる可能性は低い。どうやら、アイドル達が布を透けさせながらもわざと水を浴びたのは、これが狙いだったのだ。
 それでも諦めきれずに凝視すると、千尋の股間に貼り付いた布に、黒い陰りが透けて見えた。
(ああ、あれが、千尋ちゃんのヘアー)
 妖精のような少女の生々しい恥毛に、彼は激しく心をときめかせ、さらにその奥を見られない無念を噛みしめた。

「それじゃあ、この衣装は次の曲が最後です」
 歌い終わった千尋がそう言うと、観客からは「ええ~~~~」と不満の声が漏れる。
 三人とも、お互いの姿を見て、自分達がどれ程エロティックな恰好をしているか確認している。ノーパンの股間を守るためとはいえ、ほとんど裸で踊っているのだ。この恥辱の時間が早く終わって欲しいと思っているのは想像に難くない。

 最後の曲はR&B調のダンスナンバーだった。ニンフェの曲の中では珍しい曲調だが、ダンスの実力が存分に発揮される曲だった。
(この曲、恥ずかしがりながらだったらミスしちゃわないかな……)
 レーザーライトと共に激しく踊り始めるニンフェを見ながら、彼は一瞬邪な期待を抱いてしまう。
 そんな思いとは裏腹に、ニンフェ達は濡れ透ける女体を見せつけながら、複雑な動きをスピーディにこなしていく。
 その美しさに思わず見入ってしまうと、改めて十代の少女が身につけた技術の高さに感動し、ファンとしての尊敬が戻ってくる。
(あんな恰好で踊るのは、本当に辛いだろうに。頑張ってるニンフェがミスしないかなんて、俺は最低だ……)
 そう考えた瞬間、千尋がくるっとターンをして後ろを向くと、スカートが舞い上がる。
(!! 今、一瞬見えた、ような……)
 めくれたスカートの下、確認する暇も無かったが股間の陰りが見えた気がして、彼の頭は沸騰した。
 観客席からはどよめきが起こる。
 薄い布はそれほど水分を保持できるわけではない。強力なライトに照らされ、激しく動いた事により、僅か数分で服は生乾きになりつつあった。

 もちろん舞台上の三人もそれに気がついていないわけがない。しかし、これ以上失敗するわけにはいかない。
 動きが激しいため、突き出て揺れる尻肉と違い、下向きの割れ目までは、なかなか確認できる程見えない。スカートがめくれる度に観客は焦れたような卑猥な歓声を上げ、興奮が最高潮に達していた。
 少女たちは苦悶にも似た表情を浮かべて、激しくも切なく歌い踊る。ひらめくスカートの下が気になりながらも、ニンフェらしからぬエロチックなパフォーマンスに彼は思わず心を奪われた。
 千尋がソロパートを澄んだ声で歌い上げた時、かれは違和感を感じる。
(歌詞を間違えてる! それは最初のソロの時の歌詞だよ)
 集中している三人はそのことに気がついていないようだった。周りの観客も殆ど気づいていない。

 激しく歌い踊る曲の最後、三人はぴたりとポーズを決める。
 千尋は左手を腰に当て胸を張って右手を突き出し、陽菜は右手を垂直に上げて左手を頭の後ろで曲げて添える、志織は横向きになって上体を水平にかがめて腰を後ろに突き出した。
 その瞬間、やり終えた満足感を漂わせていた少女たちの表情がこわばる。
 すると、その身にまとうチュニックが、前後に分かれて2枚の湿った布になると、少女たちの体からゆっくりと剥がれ落ちた。
「ああ……」
 千尋が思わず絶望にうめくような声を漏らす。

 日本中が熱狂するトップアイドルの少女たちが、今、ステージ上でフルヌードで立っている。ファンにとっては夢のような光景だった。

 陽菜は、垂直に上げた右手の二の腕に、左手を頭の後ろで曲げて添えて立つ。
 空手で鍛えた小柄な体は、羚羊のように引き締まって、まだ幼さを感じさせる。
 しかし、Eカップの乳房は丸く前方に突き出て、尻や太ももにも女を感じさせる丸みがあり、成長途中のアンバランスな色気を加える。
 股間のデルタには和毛が薄く生えているのみで、下の幼い割れ目を隠すにはいたっていない。しかし、その肉割れも柔らかそうな大陰唇が一本筋にぴったりと合わさる。恥じらうように中身を隠した未熟な秘部だった。
 恥辱の衝撃に耐えているのか、さらさらのショートカットの下、大きな瞳をうるませて見開き、口を半開きにしてわなないている。

 志織も白い肌を耳まで真っ赤にしてぷるぷると震えながら、両手で豊かなウェービーヘアをかき上げるように、後頭部にあてるポーズを保つ。
 大きな乳房が強調され、ピンク色の先端が荒い息に合わせて揺れる。腰はきゅっと締まり、尻も大きく張り出した過剰なまでに女らしい体だが、背の高さと手足の長さで、まるで女神のように完璧にバランスが取れている。
 叢のようにデルタに生えるヘアは髪の毛と同じように色が薄く、秘所を隠し切れていない。ぽってりとした肉厚の肉合いの真ん中から、綺麗なピンク色の肉花びらが二枚、閉じあわされたままはみ出ている。視線を感じているのか、身じろぎに僅かに蠢くそれは、心なしか濡れ光っているようにも見える。

 千尋は、真ん中で足を肩幅まで開き、左手を腰に当てて、右手をさしのべるように前に突き出す姿勢で固まっていた。
 背筋を伸ばした立ち姿は均整が取れ凛とした強さを感じさせる一方、ひたすらに柔らかで滑らかな曲線で作られた、触ったら溶けてしまいそうな程にたおやかな乙女の体だった。
 たっぷりと膨らむ胸の双丘すらも、その自然の曲線美でバランスを損なうことなく、女体美の極致に溶け込んでいる。
 股間の白いデルタのみに萌える黒い直毛も、細く慎ましやかで、その下の秘割れを僅かにしか隠していない。柔らかく丸みを帯びた肉畝の切れ込みから、紅の秘肉がほんのちょっぴり恥ずかしげに先端をはみ出していた。
 千尋の真っ赤になった頬を涙が伝う。瞳は正面を向きながら、どこか目の前の現実から逃れる術を必死で探しているようだった。時折膝が震え、激しい恥辱を強い意志で押さえつけながら立っているのもやっとな様が伺える。

 アイドル、その心と体の美しさで彼の憧れをかき立てて止まなかった少女達が、今、その裸体を秘所まで全て眼前に晒している。
 それがどんなに恥ずかしく辛いことなのか、彼女達の作り物でない清純さを知る彼には、ぶるぶると今にも気絶しそうな程耐えている様子を見なくても、痛いほどよく分かる。
 しかし、その耐え難きを耐えて、女体美の全てを見せているからこそ、一層の感激が湧き起こってくるのだった。興奮の絶頂の中、再び彼の肉棒が脈打ち、樹液を発射していた。
 
 その時間が数秒だったのか、数分だったのかも判然としない、音楽はとっくに終わっていた。

 遂に乙女の羞恥心に遂に限界が来たのか、千尋がふっと後ろ向きに倒れてしまう。
 反射的に志織と陽菜が、支えようとするが、二人も力が入らなかったのか、折り重なるようにステージ上に倒れてしまった。
 その瞬間、裸の美少女たちを照らしていた、照明が消え、暗闇だけが残った。

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Date:2014/02/02
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