2ntブログ
 

カッコウの官能小説劇場

□ スポンサー広告 □

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

*    *    *

Information

□ ウォッチタワー □

第三章 第五節

 闘技場に朗々と塔の主の声が響く。
「諸君、ついにこのクイーンズブレイドも第三回戦とあいなった。
 この闘いでレイナが勝った場合は、当然レイナが二勝して優勝となる。
 問題はノワが勝利した場合だ。この場合、三人とも一勝一敗になる。その場合レイナの一勝は闘いで引き分けた末の一勝であるから、それは通常の一勝より低いものとみなし、ノワとトモエによる最終決戦を行う。
 ちなみに、もしこの闘いも引き分けた後ノワが勝利した場合は、唯一通常の闘いに勝利したトモエが優勝者ということになる」

 美闘士たちは既に塔の主から説明を受けていた。すなわち勝者には三点、敗者には0点、そして引き分けて勝利した者には二点の勝ち点が与えられるという事である。

 向かい合うの扉が開いて、レイナとノワが入場してくる。観客は歓呼の声を上げて二人を迎えた。

 レイナは当然この闘いに勝利するつもりでいる。決してノワを侮る訳ではないが、何度か闘った経験から自信があった。しかし、その結果ノワが再びペナルティを受ける事を考えると、心に鋭い痛みが走る。
(……今は、勝ってこの塔を出ることだけを考えましょう。ノワは遠慮してて勝てる相手じゃないのよ。わたしなら、ヴァンス家に戻ってでもこの塔からみんなを解放できる)

 ノワとしても負ける気などかけらもない。
(トモエとの闘いだってあと少しだった。レイナはトモエと引き分けだったから、決して勝てない相手じゃない。二人ともに負けちゃうんじゃ悔しいよ……)
 そして、なにより前回の敗北ペナルティの恐怖が身に染みついていた。
(勝てば、もう一度トモエと闘える……まだチャンスはある。外に出ればきっと戦士長が助けてくれる)

 二人は決意を込めて向かい合う。美闘士らしく凛々しくも、その表情にはどこか憂いの陰があった。どちらかが敗北して、淫らな拷問に処せられるのだ。そのことを考えるとおぞましさとともに、下腹部が熱くなり、蜜が湧く感覚がある。
 二人とも着実に女の感覚が開発されているのを感じて、闘士としての自分に集中しようとするのだった。

「それでは、流浪の戦士レイナ対森の番人ノワのクイーンズブレイドを始める。美闘士たちよ、持てる闘技の全てを示せ!」

 二人の美闘士は向かい合ってそれぞれの武器を構えた。
 しばらくじりじりと間合いを計った後、レイナは盾を構えて滑るように前に出る。カウンター気味にノワの棒が思い切り伸ばされ、レイナの太ももを狙う。レイナはそれを盾で受ける。
 もう一度踏み込むが、それもまた突きによって止められる。
(間合いに入れないつもり? 確かにそちらの方がリーチはあるけど。そんな消極的な戦法じゃわたしは倒せないわよ!)
 レイナは目と重心のほんの微妙な動きで右に踏み込む振りをする。ノワの愛らしくも鋭い瞳はその動きを見逃さず即座に反応する。レイナは瞬時に体をスイッチして左足を前に出してノワに迫る。
「あうっ」
 レイナの剣が、ノワのとっさにひねった腰を切る。一方ノワの突きもレイナの右膝をかすっていた。
 ノワの腰に巻かれてたスカートに切れ目が走って、はらりと落ちた。今までもチラチラと見えていた女になりかけの腰回りが全部剥き出しになる。小さくも丸みを帯びたお尻、何度か剛直を突き入れられたにも関わらず、未だぴったりと閉じた無毛の割れ目までも観客の目に晒された。
「きゃぁっ」
 レイナへも僅かにあたった棒のダメージがいく。レイナの股間を守るパンツの横紐が両側でプチリと切れる。
「なっ」
 最もレイナは鎧の前垂れがあるため秘部が丸出しになることはない。しかし後ろには高く盛り上がる尻肉を無防備に見せつける。
 二人は一瞬羞恥に戸惑うが、すぐに集中力を取り戻した。
 レイナはまた距離を取られないように、縦横無尽に剣を繰り出す。
 若々しく張り詰めながらも豊かに実ったレイナの美尻と、ノワの可憐な青い果実が競艶する。
 レイナの斬撃が幾度も功を奏して、ノワは胸の果実まで晒して先端のピンク葡萄を恥ずかしげに晒した。ノワも反撃するがことごとく読まれたかのように盾に防がれた。
(よし、このまま手を休めずに……)
 次第に相手を壁にまで追い詰めていき、レイナは半ば勝利を確信する。
「せやぁっ!」
 とどめの一撃とばかりに、フェイントで体を回転させながら、ノワの胴を横なぎに斬る。
 決して逃げられないはずの剣が空を切りレイナは驚愕した。ノワは高く跳び上がって紙一重の差で避けていた。
 とっさにレイナは盾で頭を守る。
「くあぁっ」
 衝撃が左腕に走る。
 ノワの跳んだ体勢から体重をかけて振り下ろされた棒は、盾の留め金を籠手ごと壊して、彼方へ弾き飛ばしてしまった。

 レイナはノワの大きな瞳が好機に光るのを見た。ノワが棒を縦にくるりと回す。
(来る気ね、ならば!)

 ノワの棒とレイナの横なぎの剣が、同時に入る。
「あれは!」
 トモエが驚きの声を出す。ノワの真っ直ぐに振り下ろす攻撃はは、自分の技に似ていた。武器が違ってもトモエにはそれが分かった。エッセンスを抜き出しノワの技術に組み込んである。

 棒を鉢金で受けたレイナが裸になって横に倒れる。
 ノワは籠手がはじけ飛んだものの、
ブーツだけを履いた姿で、棒に寄りかかって立っていた……。

「この試合、森の番人ノワの勝利である!」
 塔の主の宣言が響き渡り、観客が大歓声を上げる。

「レイナっ……」
「ノワ、やられちゃったわね……」
 レイナは痛む頭を振りながら、差し出された手を取って艶めかしい裸体を起こした。
 油断していたとは言えない。先日闘ったトモエの技を即座に盗んでくる、ノワの闘士としてのポテンシャルを見抜けなかった自分の負けだと、素直に思う。
「たまたまだよ。普通にやったらレイナには勝てないと思ったから……」
 ノワとしても付け焼き刃の技を強敵との実戦に投入するのは賭だったろう。ノワはその賭に勝ったのだ。
 激しく戦い合った後で、互いの尊敬が深まる。美闘士二人はそのような友を得られたことに感謝し、この絶望的な状況の中でも慰めを見いだすのだった。

「ノワよ、よくぞレイナに勝利した。皆の者、勝者に盛大な拍手を!」
 塔の主が言うと、観客が一斉に万雷の拍手をとばす。
「きゃぁっ」
 恥ずかしそうに胸と股間を手で隠したノワが宙に浮かび上がる。そして浮遊したまま、闘技場を一周する。そうして若い肌を観客に見せつけノワを羞恥で悶えさせると、トモエの隣の椅子に座らされて、ベルトで拘束された。


「さてレイナよ、負けてしまうとは意外だったな。私はお前が勝利して出て行く権利を手にすると思っていたのだが」
「……負けは、負けよ。ノワは強かったわ」
 レイナは冷静を装い、堂々と塔の主と向き合った。だが令嬢として身に染みついた慎みが、両腕で乳房と股間を隠してしまうのはどうしようもなかった。
「確かにその通りだ、意外な勝敗こそがクイーンズブレイド観戦の楽しみだからな。
 敗北した以上、これからお前はペナルティを受けなければならん」
 塔の主が嬉しそうに言う。レイナは一瞬震えて下を向くが、すぐに顔を上げて塔の主を睨み付ける。
「……好きにすればいいわ。戦いを始めた時から覚悟はできているもの」

「ふふふ、まあそう噛みつくでない。今回の戦いは割とあっさり決まってしまった。前二回の名勝負で目の肥えた観客もいささか不満だろう。
 そこで、負けてしまったお前に敗者復活戦のチャンスをやろうと思っているのだ。もし、これに勝利したらペナルティは無しにしてやろう」
「……そんな事を言って、勝たせるつもりなんてないんでしょう」
「厳しい戦いなのは確かだろう。簡単に勝ってペナルティを逃れられる訳にはいかんよ。
 しかし闘ってみなければ分からんぞ。巨大イソギンチャクの時も、普通に最後まで闘えば、お前たちが勝っていただろうからな」
「……わかったわ、闘って勝てば良いんでしょう。絶対にあなたの思惑通りにはならないんだから」
 レイナは了承した。どうせ選択肢は無いのだ。それに剣技には絶対の自信がある。ノワに後れを取ったとはいえ、塔の主の繰り出す化物相手なぞに負けてたまるかという闘志がふつふつと湧き上がる。
「さすがは流浪の戦士レイナだ、そうこなくてはな」
 塔の主はそういって腕を振ると、砕け散っていた鎧の破片が浮かんでレイナの周りに集まると、一瞬白い光を放って、もとの形に復元される。
「きゃあっ、何よこれっ!」
 レイナは剣を拾おうとして、鎧が完全に復元されてないことに気がつく。鉄胴の胸当ての部分がほとんど無い。前に張り出す紡錘形を下から支えるのみで、薄桃色の先端の可憐な乳輪と突起は丸見えである。。
 そして復元されたのは金属部分のみで、パンツや前垂れは復元されなかった。胴は下腹部の少し下までしかなく、股間までは隠せない。柔らかそうな肉畝の合わせ目から、ピンクの肉唇がはみ出ているのが剥き出しである。。
「な、直すんだったらきちんと直しなさいよ! こんな格好で闘えって言うの!?」
 ある意味胴鎧が完全に無い時より、恥ずかしい格好だった。顔を赤くして、腕で胸と股間と押さえながらレイナは怒鳴る。
「もしかしたら、ペナルティ無しになるかもしれないのだ。少しは観客の目を楽しませてやらんといかんだろう。なあに今までだって似たような姿で充分闘ってきたではないか」
 レイナはいやらしい視線に晒されながら闘う我が身を思い、さらに恥辱を深くする。
(こんな闘いをするために、家を捨てて修行の旅に出た訳じゃないのに……)

「さて、それでは相手選手の入場だ!」
 主賓席の下の両開きの扉が、重い音を立てて開いていく。
 そこから出てきたのは魔物ではなく、レイナもよく知る人間だった。レイナは体を隠すのも忘れて驚愕する。
「なっ……、まさか、どうして!」
「雷雲の将クローデット、並びに近衛隊長エリナ! このエキシビションマッチはヴァンス伯爵三姉妹対決とする!」
 観客の大歓声も聞こえず、レイナは故郷に残してきたはずの異母姉クローデットと妹のエリナを見て呆然としていた。

「レイナ! ヴァンス家嫡子たる者が、何という破廉恥な姿だ! 恥を知れ!」
 大剣を持つ長身の女戦士、クローデットから雷のような叱責がレイナに浴びせられる。
 レイナは一瞬で顔から火が出そうになる。一緒に躾られてきた家族に、性器と乳首を強調するようないやらしい格好を見られたのだ。
「いやっ、ち、違うんです、お姉様、これには訳が……」
 言い訳のしようもなく、いやらしい部分を手で覆い隠すので精一杯だった。

「ああ~ん、レイナお姉ちゃんのそんなエッチな姿見せられたら、エリナたまんなくなっちゃう」
 長槍を持ち、白虎の毛皮に身をまとい、猫科の動物のように体をくねらせるのは、人形のように美しい金髪の美少女だった。熱っぽい視線で恥ずかしがるレイナを見つめている。

「な……なぜ、クローデットお姉様とエリナがここに?」
 レイナは羞恥と驚きで混乱しながら、やっとの事で疑問を発した。
「お前を追ってきたに決まっているだろう。レイナ、お前には嫡子としての責任がある、逃げることは許さん。力ずくでもヴァンス伯爵領へ連れ戻すぞ」
「そんな……お姉様、エリナ! そこにいる男は邪悪な魔法使いなのです。この塔の中では奴の思うがまま、危険です!」
 レイナは姉妹の身を案じて叫んだ。今のところ無事に見えるが、もし誇り高い二人が自分のようにおぞましい陵辱を受けたら、と慄然する。
「レイナお姉ちゃん! そもそもヴァンス城を出て行かなければ、危険な目にも会わなかったんだよ。魔物に犯されたり、下賎な奴らの精液を浴びたり……」
「なっ、あなた……どうしてそれを……」
 エリナに屈辱の記憶を指摘されて、レイナはさらに動揺する。

 突然上空から、淫らな嬌声が何重にも響いた。
 レイナが思わず上を見ると、中空には自分の淫らな姿が、いくつも同時に投影されている。性器で木馬を動かすレイナ。ゲルキャンディを咥えるレイナ。フライングリップにいかされるレイナ。しゃがんで小水を漏らすレイナ。そして、触手に犯されることを懇願するレイナ。
「い、いやあああっーー! だめ! 見ちゃだめえ。エリナ、クローデットお姉様、お願い、見ないでぇ」
 最も知られたくない実の姉妹に自分の淫らな姿を見られて、レイナの精神は耐えられなかった。足から力が抜けて、顔を覆ってへたり込んでしまう。
「まったく、なんと言うことだ。これがお父様の期待を裏切ってまでお前のやりたかったことなのか? 伯爵が見たら何と思うことか」
「いやあん、あの上品だったレイナお姉ちゃんが、あんないやらしいことを。でもエリナはどんなに変態になっちゃっても、お姉ちゃんの味方だよ」
「最低の娼婦でも、人前でこんなことをしないぞ。ヴァンス家の家名をどれだけ汚したか。レイナ、嫡子といえどもこの罪は許されん。わたしが罰を与えてやる」
「ああ、許して……許して下さい、お姉様」
 レイナは恥辱の中で弱々しくすすり泣いた。

「レイナさん、落ち着くんだ。彼女たちも塔の主に作られたものだ。もしここに他の美闘士がいたら、君達と同じ扱いをされている」
 塔の主の前に突然半透明のテナルドが出現して、うずくまるレイナに向かって叫んだ。
 「テナルド? ……そうか、そういうことなのね」
 レイナは、はっとしてようやく顔を上げる。
 目の前に見える姉妹は、かつて毎日接していた本人そのものにしか見えない。だが、塔の主ならば、本物そっくりの人間を作ることができるだろう。そもそも姉妹はヴァンス領にいる、この塔の中にいるはずがない。
 そこに気づいて、レイナはあらためてめて塔の主に激しい怒りが湧いてくる。

 レイナは姉妹との関係も断ち切る覚悟で家を捨ててきた。そのこと自体に後悔はない。しかし、姉と妹がそれぞれ自分に強い思いを抱いていたことも知っており、時折罪悪感で胸が痛んだ。
 ヴァンス家に忠実なクローデットは、長姉でありながら妾腹だということで嫡流からは外され、自分に仕える立場に置かされていた。そして幼い頃からレイナだけに心を開くエリナは、依存に近いほど自分を崇拝し執着していた。
 生まれ持った性格も、与えられた役割も、全く違う姉妹だったが、それだけにレイナは二人に断ち切りがたい絆を感じている。

 他人には立ち入れない姉妹との関係を、辱めの道具に使わた。醜態をさらしている場合ではない。
 レイナは涙を拭いて頬を叩き、自分の心に渇を入れると、立ち上がった。

「ちっ、またも水を差しおって、懲りない奴だ。しかし、お前にできるのはその程度の邪魔だけだ、苦しめ!」
 塔の主が手を振ると、テナルドの像は何かに引っ張られるかのように歪みうめき声を上げながら消えた。
「わたしの作ったこの二人は、技にしろ力にしろ極めて忠実に複製しておる、本物と同じだ。二対一となるが、なんと言ってもレイナは嫡子。姉と妹を破って自由を手に入れて見せよ」
「……あなたなんかが作った偽物に、絶対負けない! こんなのに負けているようじゃ、本物のお姉様やエリナに申し訳が立たないわ」
 レイナは剣と盾を構えた。桃色の秘肉が視線に晒されるが、レイナの瞳には静かな怒りだけが灯っていた。
「ふはははは、その意気だ。女の秘所を見せつけながら闘うお前は美しいぞ、レイナ。絶頂で恍惚としている時と同じくらいな。
 それでは、ヴァンス家姉妹対決の開始だ!」

 塔の主の言葉とともに、クローデットとエリナは左右に分かれ、レイナを囲むようにして間合いを詰めてくる。
「レイナ、ここまで色狂いになってしまってはどうしようもない。捕縛してヴァンス城に閉じ込める。それが家の名誉を守るためだ」
「レイナお姉ちゃん、心配しないで。エリナがずっと側にいてあげるからね。それで、私が体も心も慰めてあげる」
「偽物の癖にっ、絶対許さないっ」

 闘技場に金属のぶつかる高い音が響く。
 クローデットの豪風のような大剣と、エリナの閃光のような長槍、どちらも並な戦士を一撃で屠る攻撃を、レイナは剣と盾で二合、三合と受け流す。
 嵐のように荒れ狂う怒りを心の奥底に封じて、レイナは闘士としての冷静さを研ぎ澄ませていた。二対一という不利な状況では怒りにまかせて剣を振るうことはできない。
(これなら、いける。ノワとの闘いよりよっぽど楽だわ。しょせんはやはり偽物ね)
 確かに二人の技は正確無比で、本人のと比べて遜色ない。
 しかし、本物の闘士が持つ圧力を全く感じられないのだ。以前、追ってきた姉や妹とヴァンス領内で剣を交えた時は一撃を受けるごとに、押し返さねば精神が折れそうな程だった。そのような魂と魂のぶつかり合いのような感覚がない。レイナは余裕を持って二人に勝つための方策を考えていた。

「くっ、てぇいっ」
 防御に徹するレイナにことごとく槍での攻撃を弾かれて、エリナは焦れたように大振りになっていく。そして、ついにレイナの体の中心に狙いを定めて、突撃のように体重をかけた突きを出す。
(かかったわね!)
 レイナはエリナの方に、体を軸足で回転させながら踏み出す。穂先は目標を失ってなお進む。
「あぐぅっ」
「姉上!」
 大剣を振りかぶっていたクローデットの腹に突き刺さった。クローデットの鎧がはじけ飛び、パンツと頭上の兜だけの姿になる。胸当てから解放されて弾む乳房はレイナと同じくらいの大きさだが、体が大きい分均整が取れている。
 同士討ちに一瞬動きが止まるエリナ。身を回転させて踏み込んだレイナが、その真後ろにいた。エリナは危険を感じた猫のように身を丸くして前転する。しかし、レイナの振り下ろした剣の切っ先が、剥き出しの背中を捉えていた。
「きゃあぁぁん」
 エリナの胸当てが外れて、姉妹より小ぶりだが形の良い乳房がまろび出る。エリナはそのままうつぶせに倒れた。

 一瞬の逆転劇に観客は大歓声に沸く。レイナは乳房を揺らしてエリナに追撃を加えようと剣を振りかぶる。
「お姉ちゃん、エリナを切り捨てるの?」
 潤んだ目でしたから見つめられ、レイナの剣が思わず止まる。依存に近いほどに自分を慕うエリナを置いてきたことは、心の奥底に刺さるとげだった。
 一瞬の隙を突いて、旋風のような大剣がレイナの胴を横に薙ぐ。
「くはぁっ」
 しまったと後悔する余裕もなく、レイナは弾き飛ばされる。鉄胴が壊されほぼ全裸で尻餅をついた。すかさずエリナの長槍に仕込まれたワイヤーが飛んでくる。衝撃で避けられないレイナの肉体に巻き付いて、手足の自由を奪うと、地面に引き倒した。
「闘いの最中に手を止めるとは、それがお前の甘さだ、レイナ」
「ああん、でも、そんな優しいレイナお姉ちゃんが好き。うふふふふ、やあーっと捕まえたわぁ」
「くぅっ、ひ、卑怯よ! 離しなさい」
 レイナはも女体をよじってがくが、ワイヤーがさらに白い肌に食い込むだけだった。
 思えば誇り高いエリナがあんな事を闘いの最中に言う訳がない。彼女の使う呪言は人を巧みに責める言葉だ。偽物だと知りながら、姿形に惑わされた自分の弱さを悔やんでも悔やみきれなかった。

「流浪の戦士レイナは戦闘続行不可能である。よってこの勝負、雷雲の将クローデットと近衛隊長エリナの勝利だ!」
 塔の主が宣言する声を聞きながら、レイナは絶望とともに悔し涙を流した。

→ BACK
→ NEXT
関連記事

*    *    *

Information

Comment

コメントの投稿








 ブログ管理者以外には秘密にする

Trackback

TrackbackUrl:http://aoikakkoh.blog.2nt.com/tb.php/24-113d6d53
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)