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カッコウの官能小説劇場

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蒼井カッコウ

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カッコウ、カッコウ、エロ小説書きの蒼井カッコウです。
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第五章 再戦

 崩れかけた屋敷の前庭に馬蹄の音が高らかに響き、手綱で制止された馬がいななく。
 青く透ける冥界の馬に跨った騎士姫アンネロッテである。美貌は変わらず妖精のように完璧だが、思い詰めたような表情は硬く、どこか危うい美しさを醸し出していた。

 一月前、乙女として取り返しのつかない敗北を喫した場所に、アンネロッテは戻ってきた。
 この一月間ずっと噛みしめた続けた屈辱と悔恨、そして恐怖に、心臓が縮まるように痛む。
 しかし、この心の痛みを止めるべく、アンネロッテは舞い戻ってきたのだ、深く息を吸いこむと、よく透る声を響き渡らせた。
「出てこい、ベルトラン・ボレック! アンネロッテが復讐を果たしに来たぞ!」

 しばしの沈黙の後、男が朽ちた扉の奥から、ゆっくりと現れた。
 鎧を着て両手に剣を持っているが、一月前に比べて顔が不健康そうにこけ、その歩みには以前ほど力強さがない。
 油断のない目つきと、ふてぶてしい表情だけが変わらなかった。
 自分を犯し、恥辱のどん底に突き落とした仇を前にして、アンネロッテは恐怖で息が止まりそうになる。しかし、怒りを湧き立たせ心を支えると、唇を噛みしめて睨み付ける。

「くくく、やっぱり来たな。あのまま、泣き寝入りはしないだろうと思っていたが、待ち侘びたぜ」
「くっ、貴様だけは、絶対に許すことはできん! なんとしてでも今日貴様を討ち、この身の恥辱をすすいでやる!」
「そんな事を言いながら、仲間も引き連れず、一人で正面から乗り込んできたのか。」
 男は小馬鹿にしたように、唇を歪める。
「貴様を一騎打ちで討ち果たす、さもなくば、騎士としての誇りは取り戻せない」
「どうかな、実は犯される快楽が忘れず、また俺にやられに来たんじゃないのか。ふふん、あの時女にしてやってから、何度くらい自分を慰めたのかな?」
「や、やめろ!」
 アンネロッテは真っ赤になって怒鳴る。
 確かに、幾夜か、忌まわしくも甘やかな自慰行為に手を染めてしまうことがあった。その秘密を言い当てられ、羞恥でパニックになる。
 アンネロッテは、怨敵にたいする恨みと覚悟を思い出し、深呼吸してなんとか気持ちを落ち着ける。
「……この間は、貴様のことを知らず、油断して後れを取った、悪鬼ベルトラン。今日は私の全力をもって貴様を倒す」



 一月前、素っ裸で逃げ出したアンネロッテは、なんとか池の畔に転がる武装を拾い集めると、あられのない姿のまま、なんとかボレック村から離れた街の隠れ家に転がり込んだ。
 そこで一人、我が身に起きた恥辱の悪夢を、涙を流して嘆き悲しみながら、数日間寝込んで過ごした。
 時が経つにつれ、心の傷はある部分は癒えても、決して癒えない部分があった。
 男達にされたこと、自分の女体に起こったこと、それを見たものの反応を一つ一つ蘇らせては、恥辱がさらに心に深く刺さっていく。
 誰かの優し慰めが欲しかったが、仲間たちに我が身に起こったことを知られるのは耐え難かった。
 一人で長い堂々巡りの自問自答を繰り返し、アンネロッテは一つの結論に達さざるを得なかった。
 あの邪悪な男と再び闘い、勝利しなければならない。
 そうしない限り、自分は男達に犯される無力な小娘のままで、騎士としての誇りを取り戻すことができない。
 女王を打倒するという大望のために活動し続けることもできない。それは、騎士姫アンネロッテは死んだも同じということだ。

 そう悟ってからも、女として辱しめられた記憶は恐怖となってアンネロッテを縛った。
 あの戦いでは自分の力の全てを出し切ったわけではなかった、アンブロシウスに乗って戦えば充分に勝てる可能性がある。そう頭では考えても、再び負けることを考えると、身がすくむ。
 女王クローデット挑む時にすら感じなかった、アンネロッテが初めて覚える恐怖だった。

 初めは街を歩く町人の男にすら恐怖を感じる始末だった。それを強い覚悟でもって抑え込み、少しずつ慣らして普通に街を歩ける程度には回復した。
 それでも、傭兵たちの集まる、ガラの悪い酒場に入る時には決意が必要だった。酒場に入った途端、場違いな美少女に注目が集まる。その下品な視線に隠した肌を撫でられる様な錯覚が襲い、怖気が立つ。
 なんとか平静を保って足を踏ん張っていると、当然のように下品な言葉で絡まれた。
 気がつくと、店の中の男達を全員叩きのめしていた。
 どうやら、体に染みこんだ体術だけで、やったらしい。当然と言えば当然の結果だが、アンネロッテはここでようやく、心を縛っていた緊張が解け安堵した。
 自分の強さが確認でき、ようやく自信の片鱗が戻ってくる。

「うう……、もう勘弁してくれ。な、何が望みなんだ……」
 目の前の半死半生の男が、うめくように言った。
「……ソードブレイカーを使う傭兵を知っているか?」
 アンネロッテは、ふと、それまで考えてもいなかった問いを発してみた。
「ソードブレイカー? そんなの、ベルトランでもなきゃ、滅多に使わねえよ」
「ベルトラン!? あいつを知っているのか?」
「そ、そりゃあ、傭兵やってて、知らないわきゃないぜ」

 アンネロッテは驚き、話を続けさせた。
 その結果知ったのは、“悪鬼”ベルトランは伝説的なほどに悪名高い傭兵だという事実だった。
 実戦で使いこなすには難しいはずのソードブレイカーの達人で、若い頃から数多の貴族を生け捕りにしては身代金を荒稼ぎしていたという。どんな武勇を誇る騎士ですら、彼と戦って勝利した者はいなかった。
 大胆にして狡猾な戦いぶりで目覚ましい武功をあげた彼は、いつしか数百人規模の傭兵隊を率いるようになった。
 しかしその傭兵隊は冷酷にして非道。時には女子供を人質に取り、時には雇い主を裏切ってその生命財産を根こそぎ略奪した。
 名誉も仁義も打ち捨てて、ただ我欲のためだけに暴力を吹き荒らすそのやり方は、他の傭兵達から畏敬と反発の対象だったという。
 そのためか、騎士に取り立てられてもおかしくないほどの武功を立てながら、むしろ雇い主の貴族達からは疎まれ、怖れられるようになり戦争を求めて各地を転々としていた。
 そのような不安定な状況で、彼の傭兵隊には裏切りと粛清の内紛が幾度も起こり、数年前についに瓦解する。伝説を残したまま、悪鬼ベルトランの行方は杳として知れなかった。
 腹心に後ろから刺されて死んだという説、莫大な財産をもって隠遁したのだという説、怨みを買った女に致死性の病気をうつされたという説、様々な噂が流布しているが、確かなことは誰も知らなかった。

 アンネロッテは、話を聞きながら、動揺を押し隠すのに精一杯だった。間違いなくこの伝説の傭兵こそが先日自分を辱め尽くした代官であることは間違いない。
 活動地域がクロイツ領からかなり離れていたし、所詮傭兵は戦場では下に見られて華々しく語られることもない。それでも、無敵の武勇を誇った戦士のことを自分は全く知らなかった。
 アンネロッテは改めて、この世界の広さと、自らの無知を噛みしめざるを得ない。
 油断しきって戦いを挑み、無惨にも返り討ちにあったのは、全て自分の未熟さゆえの結果だったのだ。


 そして、今、アンネロッテは再びベルトランと相まみえていた。
 かつての恥辱をすすいで、誇りを取り戻すために、自らに厳しい修行を課して武技を磨いた。
 あの時とは違い、初めからアンブロシウスに跨って戦う。一切の油断を無くして、全力でもって難敵と再戦するつもりだった。

 しかし、アンネロッテはベルトランの様子を見て、どうしても気になることがあった。
「……顔色が悪いな、心臓のせいか?」
「くくっ、恐れ入ったね、そんな事まで調べてきたのか」

 アンネロッテは逃げ出した時、恐怖に怯えながらも、せめて騎士の正装たる鎧と剣だけでも拾っておこうと、処女を散らされた池の畔に立ち寄ったのだ。
 脱がされた鎧の側に、空の小瓶が転がっているのを見つけた。代官が飲んでいた緑色の液体が僅かに残る小瓶に、何か引っかかるものを感じたアンネロッテは、とっさにそれも掴んだ。
 叛乱の仲間であるリトルエルフの錬金術師に手紙でその分析を頼むと、帰ってきた返事は意外なものだった。
 それは、弱った心臓を動かすための薬だった。珍しい薬草を原料に錬金術で作られたもので、かなり高価なものらしい。その薬草は一年ほど前に買い占められて、市場に出回らなくなったことがあったと、返事には書いてあった。

「ひひ、そんなに心配そうな顔をするな。このくそ忌々しい薬のおかげで、まだ心臓は止まらん。剣も扱えるし、ちんぽも立つ」
「下衆め……心配などするものか。お前の心臓はこの私が止めてやる」
「まさしく刺すか刺されるかだな、くはははは。同じ事をしたがっている奴は、山ほどいるが、最後の相手がお前みたいな上玉で嬉しいねえ。神様の粋な計らいって奴かな」
「ほざくなっ」

 アンネロッテが馬上槍と盾を構えると、しなやかな女体に闘気がみなぎる。
 まぶしい程白い太ももがぶるっと躍動して腹を蹴ると、アンブロシウスの巨体が弾丸のように突進した。
 槍の鋭い切っ先を、ベルトランは俊敏な動きで横っ飛びにかわす。その両手には、いつの間にか大小二つの剣が握られていた。
 アンネロッテはそのままの勢いで距離を取ると、馬体を最小半径で回転させ、ベルトランに槍の切っ先を差し向けると、再び突進する。
 正面から迎え撃つベルトランは、穂先の届くぎりぎりで瞬時に動く。馬体を半身に避けつつ、左手のソードブレイカーで槍を受け流し、右手の長剣を低く横に薙ぐ。
「なにっ……」
 ベルトランが思わず驚愕の声を上げる。予想された肉と骨を断つ衝撃はなく。半霊体の馬はそのまま駆けていってしまう。
 それは、絶望的なまでの不利を、悟ったがゆえの驚愕だった。
 騎兵と歩兵では、上方にあり機動力に勝る騎兵の方が有利なのは当然だ。それでも、無防備で大きい馬体が常に晒されているという弱点がある。このアンブロシウスに限ってはその弱点とは無縁のようだった。
 しかも、馬上槍と長剣ではリーチに差が大きい。それは常にこちらの攻撃の届かない範囲からアンネロッテに攻撃されると言うことだった。
 アンブロシウスを反転させたアンネロッテは、油断した様子もなく、厳しい表情のまま、三度目の突撃を行った。

 アンネロッテは同様の突進攻撃を繰り返した。
 毎回同じ突進に見えて、槍の軌道やアンブロシウスの移動を巧妙に変えた、まさしく騎士の華と言うべき華麗な突撃であった。
 ベルトランの方もその攻撃を全て防ぎ避けながら、必死の反撃をする。
 しかし、騎士を捉えた剣撃は盾に弾き返され、背を見せる瞬間を狙った攻撃はアンブロシウスの後ろ蹴りに防がれる。

「あぅっ」
 幾度目かの突進で、ついにベルトランの剣がアンネロッテを撃つ。
 複雑な軌道をで盾をかいくぐった剣先が、下からアンネロッテの胸当てを掠める。
 甲高い金属音と共に胴鎧から胸当てだけが外れ飛んだ。
 ぶるるんと柔らかさと弾力を示して揺れ動き、美巨乳の完璧な形が陽光に下に晒される。
「くっ」
 思わずアンネロッテは、その先端の可憐な紅突起を手で隠す。

「はぁ、はぁ、ふぅぅ、相変わらずいいおっぱいだな。感触が蘇ってきてたまらねえな」
 ベルトランは既に息が上がり、距離を取ったアンネロッテに追撃することもしない。
「黙れっ、下衆め……」

「……騎士姫様よ、こいつはちっと騎士道にもとる戦いぶりなんじゃないのかい。遠くから馬で突進するばかりで、こっちの剣の範囲には全然入らねえ」
「貴様の剣の腕前に敬意を払っての戦法だ、騎士の常道でもある」
「うひひ、俺とがっぷり四つに組むのが怖いのかい。この間は結構優しくしてやったじゃねえか。もう一度可愛らしいよがり声を上げさせてやるぜ」

「くっ、言うなぁっ!」
 アンネロッテの顔が紅く歪む。手を放して武器を構えるとまぶしく白い双丘が、ぷるんと弾む。それを無視して、アンネロッテはまた突進をかける。
 ベルトランは飛びずさるように避けた。そこでアンブロシウスはいななきながら状態を上げて、巨体を止める。
「てやぁぁぁぁっ!」
 アンネロッテの槍が目にも止まらぬ速さで前後に動いて、がむしゃらな連撃を加える。
 「流星突き」アンネロッテの編み出した必殺技である。腕の動きにつられて解放された乳房も踊るように激しく上下した。
「うぁっ」
 なんとか剣の平で防いだベルトランだが、後ろに吹っ飛ばされる。剣は手から離れて音を立てて転がった。

 馬上から槍の切っ先を憎き男ののど元に突きつける。
「ま、待て……、俺の負けだ、降参する」
 アンネロッテは、馬上から地面に倒れたベルトランを見下ろした。
 ぶるっ、と体が震えると、勝利を実感して、なんとも言えない解放感が湧き上がってきた。アンネロッテは、自分が心の奥底でいかにこの男を恐怖していたのかを実感する。しかし、それももう終わったのだ。

「なあ、俺を殺さないだろう……。俺はお前に勝ったが、お前を殺さなかったじゃないか」
「よくも、そんな事が言えるっ……、貴様が私にしたことを忘れたとはいわさんぞ……」
「悪かったな。でも、お前みたいな美しい女を捕まえて、好きにできるとなりゃあ、色々してみたくなるってのは、こりゃあ男の性ってもんだ。何もしないって方がおかしいぜ」
「お前なんかに、辱められ、いっそ殺された方がましな苦しみを味わった、それを思い知らせてやる……」
「お前は俺に殺されなかったからこそ、こうやって俺を打ち負かすこともできた。女王にもまた挑める」
「くっ……」
「なあ、俺はもうほっといてもくたばっちまう。わざわざ騎士の掟に反してまで、降参した俺を殺さなくてもいいんじゃないのか」

 アンネロッテは唇を噛んでベルトランを睨み付けた。男の瞳の色はは深く内心を悟らせない。
 この一ヶ月の間、毎日この男を殺すことのみを強く願い、そのためだけに行動してきた。
 しかし命乞いをする男を前にして、憎しみは以前ほど強烈な黒さを放っていない。それは、男を打ち負かして恐怖を振り払ったからなのかもしれない。
「……お前は危険な男だ。腕を使えなくしてやる。後は勝手に死ぬがいい」
 村から追放するべきなのかも知れないが、村長達にされたことを思うとそんな気にもなれなかった。
 暴力という手段を無くせば、どうせ村人から報復され、ここには居られまい。暴力のみを後ろ盾にしていたこの男にとって、もしかしたら死よりも辛い罰かもしれない。
 アンネロッテはそう思ったが、男はあっさりとそれを受け入れた。
「ああ、いいぜ。命が助かるなら安いもんだ……」
 そう言って握った手を前に差し出す、アンネロッテはやや拍子抜けしながら、腕の腱を断とうと槍を引く。

 瞬間、男の手首が閃いた。
「あっ!」
 鍛えられた反射神経が手で顔を防ぐ。ぱんっ、と何かが手に当たり破裂する。刺激物の臭いが鼻を突いて、煙が立った。
 それは、目潰し玉だった。目に直撃していたらしばらくは目が見えなかっただろう。
 男は転がるように後ろに逃げ出し、建物に向かっていた。
「けほっ、ごほっ、待て、卑怯者! 許さないっ」
 多少涙がにじむが、目は見える、アンネロッテはアンブロシウスの腹を蹴った。もはや容赦は無用で、男の背中に馬上槍を突き立てる覚悟である。
 力強い疾駆で間合いは数瞬で詰められた。
 男が振り向き、切っ先がその胸に届く瞬間、アンネロッテは馬上から後ろへ放り出された。まるで体が見えない何かにぶつかったようだった。

「がはっ」
 背中から地面に落ちたアンネロッテは、肺から空気が逆流するような衝撃を味わう。飛び起きたいのだが、痛みと衝撃で体が言うことを聞かない。
 ベルトランは滑るように動くと、アンネロッテに馬乗りになって、ソードブレイカーの切っ先をのど元に突きつける。
「形勢逆転だな。くく、あそこに糸を張っておいたのさ、虫の腸を伸ばした細くて頑丈な糸をな。地の利はこちらにあったって訳だ」
「くっ、はぅっ……ひ、卑怯者ぉ」
 アンネロッテは振り絞るようにそれだけを言うのが精一杯で、再び敗北を喫した絶望と痛みに目の前が暗くなっていった。

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第四章 饗される女体

 アンネロッテはベッドの上で目覚めた。寝返りを打とうとして、両腕が頭上で縛られて、ベッドに繋がれているのに気がつく。
 あれから、またロバの上に乗せられ、屋敷に戻ってきたのだ。既に暗くなっていたため、村人から余り見られなかったのは幸いだった。
 昨晩、汗と精液で汚れた体を風呂で洗われた時、アンネロッテは虚脱状態だった。そのせいか、そのまますぐにこのベッドに寝かされたのだ。
 男は終始無言で、固い無表情を崩さなかった。

 小鳥の鳴く声が聞こえて、空気も涼しい。まだ早朝のようだ。
 頭がはっきりして来ても、まだ夢を見ているようだった。昨日起きたことが現実だとは思えない、いや、思いたくないのだと自覚する。
 しかし、布団に覆われているとはいえ、丸裸で縛られている我が身の現実は否定のしようがない。

 ふと、正面の壁に一枚の絵が掛けられているのに気がつく。
 それは家族の肖像画だった。口髭を生やした厳めしい男が立ち、その妻らしき女性が柔らかい表情で寄り添う。その前に年頃の乙女がはにかむように座り、まだ幼い少年が満面の笑みを浮かべていた。
 上流階級らしい衣服に身を包み、俗っぽい幸福さを強調した画風は、名もない画家の手になるものだろう。
 それでも、年月を経て古びたその絵は、何故だかアンネロッテの目を引いた。

 突然、ドアが開き、男が入って来た。盆の上に食べ物をのせている。
 アンネロッテはびくりと体を震わせる。昨日のこの男の非道さを思い、恐怖で表情が硬くなる。
 しかし、内心の緊張と裏腹に、食物の臭いを嗅いでアンネロッテの腹が大きな音で鳴った。昨日からほとんど何も食べていないので無理もなかった。
 アンネロッテは、自分の腹の間抜けな音に、真っ赤になる。
 男はおかしそうに笑うと盆を側のテーブルに置いた。
「朝飯を持ってきてやったぞ」
 そして、アンネロッテを覆う布団を引きはがした。
「あっ、くぅっ」
「それにしてもいい体してやがるな。ここまで美しいと何度見ても見飽きないぜ」
 アンネロッテも、裸体を見られることに一向に慣れない。自分の強さを全て剥ぎ取られて、無力感と羞恥に心が縮こまってしまう。

「なあ、どうして村長達をかばったんだ?」
 男はベッドに腰掛けて、指でアンネロッテの女体の曲線をなぞりながら聞く。
「あっ、さ、触るなっ。くぅっ……」
「あいつらを殺したいとは思わなかったか? お前のここに無理矢理ちんぽを突っ込んだ奴らだぜ」
「くぁっ、だ、黙れ! 貴様がやらせたのだろうが!」
「まあな。だが、あいつらは喜んでやった。犯されたお前はよく分かってるだろう。くくく、あれがお前が命をかけて助けようとしていた奴らの正体ってもんだ。お前が強ければへつらってすがり、弱ってりゃあ欲望のまま犯すのさ」
「ううっ、それでもっ、……どんなに辱められても、私は騎士だ……はぁっ、んっ。弱きものを守り、悪には屈しない……」
「それが騎士の誇りか? 石頭の自己満足だな。犯されて分かっただろう、弱い奴も悪をなす。普段は弱いからできないことを、機会さえ与えられれば、喜んでやるのさ」
「ち、違うっ、お前や女王のような奴が、進んで悪を為すのだ、人を悪の道に誘い込むのだっ、お前だけは許さないっ」
「ははは、許さないと言ってもな、死ぬまでお前は俺のペットだぜ」
「い、生きている限り、いつか、必ずお前に復讐を果たしてやる」
「そいつは楽しみだ。くく、お前の体をいじっていたら、おもしろい朝飯の食い方を思いついた」
 
 男はアンネロッテの両足もベッドの足に縛り付けて、身動きが取れなくする。
 そして、薄く切ったパン、ハム、生野菜等を、アンネロッテの胸から腹にかけて並べて置きはじめた。
「ひゃんっ、な、何ををするっ」
 ハムがしっとりと冷たく張り付く感触に、アンネロッテは思わす声を上げた。
「落とすなよ。落としたら朝飯を食わしてやらんからな」
 男は手早く食べ物をアンネロッテの女体に盛りつけ、最後にジャムを、くすぐったさに震える豊乳の上にたっぷりと乗せた。

「ふっ、まあこんなもんだろう。なかなか乙なもんだぜ、女の体を皿にするってのも」
「こ、こんなのっ、食物にたいする冒涜だっ……」
 アンネロッテは顔を真っ赤にして恥辱に震える。
 男は笑いながらパンを手に取ると、股間の秘唇になすりつけた。
「あんっ、だめっ」
 ざらつく感触で、柔肉を擦られ思わず感じてしまう。溢れる愛蜜を吸い取ったパンを乳房のジャムをなすりつけると、男は半分かじり、残りをアンネロッテの口にやる。
「んんっ、いやっ」
 思わず嫌悪感で可憐な唇を閉じて顔を背ける。
「これを喰わんと、今日の飯は抜きだぞ。辛いと思うがな」
 人間性を疑うような食事ではあったが、体は食べ物を欲していた。食べられる時に食べておくというのは、戦場に望む騎士の最低限の心得である。もし逃げ出す好機を見つけた時、空腹による体力不足で失敗したら、後悔してもしきれない。
「くぅっ、うっ」
 結局アンネロッテは屈辱に耐えることを決断した。唇を緩めると口の中にパンが押し込まれる。甘みの中のねっとりとした液体が、自分の漏らした淫らさの証だと思うと、情けなさに涙がこぼれそうだった。
 嗚咽をかみ殺して、淫らなパンを咀嚼して飲み込む。

 男は満足そうに笑うと、ナイフとフォークでハムを切り始める。肌を傷つけない優しさで、冷たく硬い金属が柔肌の皿を刺激する。
「やっ、んんっ」
 フォークに刺さった生ハムを秘唇に入れられ、愛液をまぶされる。フォークの先端で内側の柔肉を引っかかれ、思わず声が出てしまう。そして、開いた口にそのハムを詰め込まれた。

「あっ、なに……、ああっ」
 アンネロッテの小さな秘穴を拡げてさし込まれたのはキュウリだった。男は水音をたてながら、緑色の野菜を出し入れする。
「あんっ、はぁっ、だ、だめっ、そんな、あぁんっ」
 野菜で感じてしまう自分の女体に、情けなさと悔しさでいっぱいになりながら、よがり声が止められない。
 片方の乳首に残ったジャムを吸い取るように舐め取られる。硬くなった乳首をいやらしく舐め回され、電流が体に走る。

 もう片方は乳房を絞るように持ち上げられ、無理矢理顔を寄せて自分で舐め取らされた。自分の舌で刺激する乳首の感覚に、屈辱と背徳の甘さが口に広がった。

「ああっ」
 キュウリが音を立てて抜かれ、顔にまで近づけられる。かき回されて白濁した淫蜜が垂れて頬に落ちた。
「くく、自分の本気汁はうまいか?」
 男のからかいを聞きながら、口の中にさし込まれたキュウリを味わい、アンネロッテは涙をこぼした。

 男は生ハムを蕩ける秘肉を覆うように貼り付けると、アンネロッテの足側に回る。
 顔をを股間に近づけると、生ハムを舌で秘唇に押し込むように、刺激しながら、貪るように食べ始める。アンネロッテはまるで自分が最も柔らかい部分から食べられているような錯覚に陥りながら、背筋に快感が走った。
「んぁっ、ああぁっ、だめ、こんな、いっちゃうっ、ああぁぁぁぁぁーーーーっ」

 男は絶頂に達した痙攣する女体を、丁寧に舐めて食べくずを綺麗にしていった。
「どうだい、美味かっただろう? こんなに感じてたら、味なんてわからんか、はっはははは」
 アンネロッテの口にミルクを流し込みながら、笑う。
 そして、自分は緑色の液体の入った薬瓶を飲み干した。かすかに奇妙な匂いが漂い男は顔をしかめて、残ったミルクを飲み干す。

「くぅぅ、こんな、いやらしい……、お、お前は変質者だ!」
「ふふふ、まあ、そうかもな。さてお前はいったかもしれないが、俺はまだだぜ」
 男は服を脱いで裸になる。えらの張った長大な男根が飛び出して屹立する。
「ひっ」
 改めてその凶悪な外見を見せつけられたアンネロッテは、怯えるとともに甘い疼きが股間に走るのを感じた。
 ベッドに縛り付けていた紐を解いて、アンネロッテの美脚を大きく拡げると、赤黒い先端を、蒸れるように熱い肉花びらへ押しつけた。
「ああっ、いやあ……」
 太い肉棒が柔らかい肉の襞を押し広げて、侵入するのを感じる。自分の意に反して、肉壁が肉棒を締め付けながら奥へ誘うように蠢いてしまい、アンネロッテは甘い悲鳴を上げる。
 また肉棒に犯されることに強い嫌悪感があるのに、どこか肉体が悦んでいることにめまいのような困惑を感じる。
「はぁっ、はあぁっ、いやっ、はぁん、あうぅ」
「ふふふ、相変わらずいい締め付けだな。キュウリだろうが、百姓のちんぽだろうが、突っ込まれれば何でも感じるすけべまんこだけはあるぜ」
「くぅっ、はぅぅっ、そ、そんなこと、ない……あはぁっ、あんっ」
 辱めの言葉に屈辱を噛みしめながらも、力強く出し入れされる度に全身を走る快感に溶けていってしまう。

 男は男根を入れたままアンネロッテを抱き上げると、対面であぐらをかいた膝の上にのせた。縛られたままの両手を男の首の後ろに回させ、両足も男に巻き付かせる。
 今までにないほどに男に肌が密着して、肉棒が子宮口を押し上げるほど深く突き刺さる。
「ああっ、こんなぁ……はぁんっ」
 男はアンネロッテの尻を両手でつかむと、腰を回すように動かし、女の最奥部を刺激する、男の胸板に豊乳が潰され、こねるように動く。
 アンネロッテの喘いだ口に、男がむしゃぶりつくように舌を差し入れてきた。
「んっ、んむぅっ」
 男の長い舌が、アンネロッテの舌に蛇のように絡みついて吸い上げる。アンネロッテは初めて味わう他人の舌のぬめる感触におののく。男の舌はまるで軟体生物のように強引に動いて、アンネロッテの舌と口腔を蹂躙し尽くした。
(あはぅ、唇まで奪われてしまった。こんなにもいやらしく……。上から下まで繋がってまるで自分の体じゃないみたい……、ああ、犯されているんだわ、私)
 アンネロッテは、全身の快感に恍惚として男の蹂躙を受け入れてしまう。哀しみも甘い自己憐憫になって快感を増幅するほどだった。

「ぷふぅ、どうだ、淫乱騎士姫様。昨日は村長達のちんぽも加えてよがっていやがったが、あんな百姓どものより俺のは一味違うだろう」
「はんっ、ああぁっ、あんっ」
「処女を失った日に四人とやる雌犬もそんなにいないだろう。なあ、どのちんぽが一番良かったか言ってみな」
「はあっ、そんなこと、あうぅぅん、言えないっ」
 他の男達が自分の快楽のためだけに遮二無二動かしていただけなのにたいして、男は常に的確にアンネロッテの性感を操るように押し引きして刺激する。それは比べるべくも無い程だったが、それを口にするのは慎みと羞恥が邪魔をした。
「ほう、言わないのか」
 男は腰の動きを止めて、アンネロッテの尻を握りしめる。
「ああっ」
「言わないと、ずっとこのままだぜ」
「そ、そんな、もう少しなのに……」
「くく、何がもう少しなんだ、んん? さっきいったばかりなのに、すけべな女だぜ」
「あぅ、くぅ、言うなぁ」
 アンネロッテは切なそうに尻を振りたがるが、それも男の万力のような手に阻まれる。淫肉の壺が愛液をぬめらせながら、蠢いて少しでも快感を得ようとするのを感じながら、アンネロッテは涕泣した。そして、屈辱を感じながらも快楽への渇望に屈服する。
「ううっ、お、お前のが一番だ……だから、止めないで……ああっ」
「俺の何が一番なんだって、きちんと言ってみろ」
「ああ……、そんな、言えない……」
「だったら、このままだな。早くしないと萎えちまうぜ」
「あっ、くぅ、……ち、ちんぽだお前のちんぽが一番気持ちいい、ああっ」
 卑猥な言葉を言わされる、しかも、自分の肉欲に屈して。アンネロッテは改めて自分の女体の浅ましさに悲痛を感じる。

「はっはははははは、可愛いねえ。俺のちんぽでいかせて欲しいんだな、望み通りにしてやるぜ」
 男はそう言うと、ベッドを軋ませて激しくアンネロッテの体を上下させる。
「あぅんっ、ああっ、はあぁぁっ、はふぅんっ、いいっ、あはぁぁっ、もうだめ、いっちゃう……」
 焦らされた分だけ快感は増大する。待ち望んだ肉棒のえぐりに、全身が喜びに震えた。
「ああっ、いくっ、いくっ、いくぅっ、はんあぁぁぁぁっーーーーーー」
 アンネロッテは男に抱きつきながら、首を思い切り反らして絶頂のよがり声を叫ぶ。
 膣壁が収縮して肉棒をきつく喰い締めるが、それ以上の力強さで脈動して、子宮口に熱いしぶきを叩きつける。
 アンネロッテは肉体が快楽の大波に痙攣するのを、かんじながら、意識を失っていった


 しばらくしてアンネロッテは気がつく。ぼんやりと体を起こす。まだ快感の余韻があり、体も冷えていない。それほど時間はたっていないようだ。
 そして突然部屋に一人で取り残されていることに気がつく。
 その瞬間アンネロッテは完全に覚醒した。
 今、アンネロッテを縛っているのは両手首を縛る革紐だけで、それもどこかに繋がっているわけではない。
 ベッドから音を立てないように見回すと、盆の上の食事用ナイフをつかむ。はやる心を抑えて、手を傷つけないように革紐を歯に押しつけ、なんとか切ることができた。
 ようやく自由になった両手に涙が出るほどの喜びを感じる。
 アンネロッテは一つぶるっと武者震いをする。
 かすかにドアの向こうに足音がした気がした。迷う時間はなかった。
 アンネロッテは窓を開けると、丸裸のまま外に飛び出す。そこは、昨日あの男に敗北した場所だった。
 それに気づくと胸に突き刺さるような痛みを感じるが、それを無視する。
「アンブロシウス!」
 アンネロッテは冥界の愛馬の名を呼んだ。青く透明な馬が、すぐ側に出現する。両手さえ自由であれば、すぐにでもこの馬に乗って逃げ出せたのだ。
 アンネロッテは胸を揺らして愛馬にまたがる。丸裸で愛馬にまたがるのは初めてだが、それでも失われた自信が多少戻ってくる。
 しかし、建物の方に、人の気配を感じると、アンネロッテの心は恐怖にいっぱいになる。もう二度とこの自由を失いたくない。
 アンネロッテは、手綱を振るとアンブロシウスを全速力で駆けさせた。悪夢から逃れるように、後ろを振り返りもしなかった。
 
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第三章 密室の輪姦劇

「申し訳ありません。あ、生憎と家人は出払っておりまして。なにぶん急のお越しでしたので……」
 村の集会にも使うのか、大きなテーブルのある広間に案内すると、村長はワインとグラスを自分で持ってきた。どっかりと中央の椅子に座った代官の前に震える手でワインをつぐ。
 二人の男が後ろに付き従っている。一人はアンネロッテも知る村長の息子でまだ若い。もう一人は村長と同年配で、頑丈そうな体だが、片腕を布で吊っていた。
 村長達は裸のアンネロッテにどうしても目が惹きつけられては、慌てて目を背ける。
 女体の全てを見られるアンネロッテは、赤い顔をうつむかせては恥辱に耐えている。
「おい、棟梁。雑貨屋はどうした? あいつは今日は来ないのか」
「……ハンスは死んだよ、あんたに蹴られたせいで……」
 睨みながら押し殺すような声で手を吊った男が答えると、村長はその反抗的な物言いに慌てて、押さえる仕草をする。
「はははは、なんだあいつ、あれくらいで死んじまったのか。ひ弱な野郎だな。代官に向かって、お前に売るものはねえ、とか生意気をほざく位だから、もうちっとしぶといと思っていたぜ」
 それを聞いて手を吊った男は、悔しそうに唇をゆがめて、すぐに目をそらした。

「し、して、ベルトラン様。今日は一体どのようなご用件で・・・・・・そちらの女は一体……?」
「おや、村長。この女を知らないのか?」
「……とんと、存じ上げません。この近辺の者ではないようで。こんな美しい女なら知らないはずはございませんから」
 村長はようやく腹が据わったのか、卑屈な態度で滑らかに嘘をつく。
「はっ、こいつは叛逆の騎士姫アンネロッテだ。女王の治世に異を唱え、各地を乱している大逆人だ。俺の首を取りに来たので、返り討ちにして捕らえたのよ」
 男は言いながらアンネロッテの尻をはたくと、ぱあぁぁんと音を響かせる。アンネロッテは痛みと屈辱に裸体をよじらせた。
「そっ、それは、美しい顔をしてなんと恐ろしい・・・・・・。無事捕らえられて良うございました」
「ほほう、本当にそう思っているか? 俺がぶち殺された方が、お前達は嬉しかったんじゃないのか」
「め、滅相もございません……」
「それにしても、こんな地図にもろくに載っていない田舎村を、わざわざ開放しに来たというのがのが何とも解せん。むしろ、誰か村の人間に招かれてやってきたのではないかと疑っているのだがな」
「わ、私は自らの意志で、貴様の暴虐を止めるために来たのだ! 村人の手引きなど無い!」
 アンネロッテが顔を上げて断言した。自分が負けたのは仕方がないが、それによって村人達に被害が及ぶことがあってはならない。男にどんな拷問を受けようと、絶対に自白をしない覚悟を胸に刻む。
 代官はもう一度、美しく張り出した尻を平手ではたいて鳴らした。
「お前は黙ってろ、今はこいつらと話しているんでな」
「くぅ……」 
 覚悟は決めても、女として辱められる悔しさは心にこたえた。

「こ、この村の人間に、代官様を殺そうなどと考える不届きものはおりません。ただただ、平穏に人生を全うすることだけを願う純朴なな田舎者ばかりです。女王陛下に逆らおうなどという事は、決して考えも及ばぬ事でして・・・・・・」
「くっ、はっはははははははは」
 卑屈に縮こまってみせる村長に、代官は突然爆笑した。村長はびくりと体を震わせる。
「くくく、よく言うぜ。三十年前、気にくわない領主を傭兵を雇って一家惨殺した奴らが、純朴な田舎者とはね」
「なっ、何をおっしゃいます……!」
 村長は、代官の冷酷な表情に見つめられ、真っ青な顔でぶるぶると震えている。
「三十年前に上手くいった方法を、もう一度やろうとしたわけだな」
「ベルトラン様、何か誤解していらっしゃいます。三十年前の事件も、領主様の財産を狙った野盗どもの仕業でして……」
 突然男が椅子を蹴って立ち上がり腕を一閃する。ボトルとグラスが壁に叩きつけられ、盛大な音を立てる。
「ひぃっ」
「俺はよお、直接聞いたぜ、赤目のガンツにな。くたばる前に言いやがったよ。ボレックを襲ったのは一財産あるってたれ込みがあったからだってな。どうせ村には金目の物は全然無い。村に手を出さず素通りすれば、満月の夜でも領主に知らせる者はいないとな……当時の村長は、お前の親父だったな」
「わわ、わたしは何も存じません。そ、それは、な、何かの間違いです……」
 男の微動だにしない暗い瞳に凄まれ、村長は震えながら膝をつき、手を合わせて拝むように哀願する。

「……ふん、まあいい……遙か昔のことだ」
 しばらく、震える村長を睨み続けた後、ようやく視線を外した男は乱暴に椅子に腰を下ろした。
 村長は、歪んだ泣き笑いの表情で安堵の息を吐く。
「それより今のことだ、本当にお前達はこいつとは無関係なのだな」
 男はアンネロッテのくびれた腰を引き寄せると、膝の上に尻を乗せて、胸をまさぐった。
「や、やめろぉ、はんっ」
 猥褻な狼藉を働きながらも、男の視線は鋭く、村長の顔から微動だにしない。
「は、はい、それはもう神に誓って、反逆人とは何の関係もございません。どうか信じて下さい」
「だ、だからそう言っているだろう! この村に来たのは、たまたまだっ、あぅっ」
 アンネロッテは見せびらかすように、豊かな乳房をたぷんたぷんと揺らされ、羞恥にもがきながら叫ぶ。

「ふむ、そうか。証拠も無しに疑って悪かったな。色々と不自然な点があったものでね」
 男は突然声を柔らかくすると、意外にもあっさりと引き下がった。
 村長は驚きながらも、安堵して緊張を緩ませ、へつらうような笑みをへばりつかせる。
「そ、それはもう。ベルトラン様も慣れない土地で様々なご苦労がおありでしょうから。しかし、私ども村民も決して村の統治に反抗しようなどとは」
 女体を弄びながら、男の唇だけが歪むように笑う。
「そうだな、我々の関係は良好とは言えない。反乱者がこんな田舎まで襲ってくる時勢だからな。なんとかしなければとは思っているんだぜ」
「お、恐れ入ります。我々としては、そのう、何につけても協力するにはやぶさかでなく」
「そこでだ、お前達村の有力者と信頼関係を築くため、傭兵の流儀だが、兄弟の杯を交わそうと思うんだ。受けてくれるよな」
「は? きょ、兄弟の盃ですか……? 新しい酒を用意いたしましょうか」
「いやいやいや、盃といっても酒を酌み交わしただけで兄弟になれるものかよ。そういうときにはこれだ、俗に言うだろう、穴兄弟ってな」

 男はアンネロッテを抱きかかえて立上がると、テーブルの上に裸体を放り出すようにして寝かせる。
「あうっ、きゃあぁっ」
 アンネロッテは恥ずかしげに白い裸身を横向きに縮こまらせようとするが、男の手が伸びて両肩を机に押しつけられる。視線から逃れようともがく女体は、むしろ艶めかしくくねって男達の視線を誘ってしまう。

「くくく、どうだ、こんないい女はガイノスにも滅多に居ない。お前達にゃ一生手の届かない女だぜ。さっきまで処女だったが、二発ほどやったら、もうひいひいよがるいい体になっているぜ。俺からの馳走だ」
「お、お戯れを……」
 声を上擦らせながらも村長の目は、アンネロッテの完璧な女体に釘付けだった。乳房は上向きになっても形を崩さず山のように盛り上がり、先端の桃色の蕾が誘うように揺れている。股間を隠そうと横向きにねじれる腰は細さを強調し、その下では張り詰めて広がる丸尻が割れ目を覗かせていた。

「戯れ? 聞き捨てならねえな。男が兄弟の申し出をしているのに、冗談と流す気か」
「い、いえ、決してそのような」
「もし嫌だというなら、上辺だけ繕って、決して俺と馴れ合わないってことだな。それならそれで、俺にも考えがある」
 男は片手を腰にやり、剣の鯉口を切る。
「ひっ、い、いえ、私には妻もいる身ですし。それに、そんな人前でそのような……」
「はっ、あほ言え。息子より若い愛人囲ってる癖によ。前は悪かったな、勢いで犯しちまってよ、これはその詫びでもある。言っちゃなんだが、どぶろくの礼に最高級のワインを飲ませるようなもんだぜ」

 男は身を乗り出して、アンネロッテの足首を両手で掴むと、思い切り開きながら引き寄せる。
「いっ、いやぁぁぁっ、やめてっ、見ないでぇっ」
 Vの字に開かれた長い足の根本で、ぷっくりとした肉畝に挟まれた、ピンクの花びらがほころぶ。
 アンネロッテは三人の男に女性の根源に覗かれ羞恥に悶える。そして、代官が村長達に自分を犯させようとしていることに、ここに至ってようやく気がつくのだった。
「なあに、若い娘でもこいつは反乱を煽る大罪人だ。犯したって罪に問われたりはしないさ。くく、綺麗なまんこだろう。まだ二回しかちんぽを入れられていないからな。中もねっとりと絡みついてきながら、きゅうきゅう締め上げて、極上の味だぜ」
「や、やめろぉっ、ああっ、こんなこと……」
 アンネロッテは真っ赤な顔を振りたくった。

 顔を真っ赤にして荒い鼻息を漏らしながら、村長の息子がふらふらと引き寄せられるように前に出る。
「お、おい、アラン」
「しょ、しょうがないよ父さん。従わなきゃ殺されるんだ……」
「お、小僧、やる気だな。くくく、おっ立ててるだけじゃなくて染みまで作りやがって。もう我慢の限界か、若いねえ」
 若者が両手を伸ばしてむっちりとした太ももの感触を確かめる。視線は股間の秘肉から動かず、その興奮しきった顔が足の間だからアンネロッテにも見える。

「い、いやぁぁっ、さ、触るなぁっ」
 アンネロッテは衝撃を受ける。まさか自分が命に替えてもかばおうとした村人が、こんなにも容易に自分を犯そうとするとは、信じられなかった。
 女を犯して楽しむ男は、この悪魔のような特殊な存在だと思いたかった。普通の村人がそんな行為に走るなど、騎士の世界で純粋培養された若いアンネロッテには想像も付かない。
「ああ、なんて滑らかな肌なんだ。熱くて柔らかい……」
 うっとりと若者はアンネロッテの体中をまさぐる。胸をこね上げ、脇をなぜて、尻肉を揉む。そして最後に弱々しく震える秘唇を指で弄くる。
「ああっ、無礼者っ、そ、そんな所に触るなぁっ」
 代官に比べれば稚拙で荒々しいだけの触り方だった。しかし、乳首を代官に弄られながら、次第に蜜を漏らしてしまう。
「ぬ、濡れてきた。もう我慢できない!」
 若者が勢いに任せてズボンを下げると、股間から細長いペニスが飛び出る。先端をアンネロッテの秘割れに持って行くと、焦ったように入口を探して押し込もうとする。

「や、やめて! お願い、どうか人としてそんな事は……、あああぁぁっ」
 アンネロッテは必死に懇願を、興奮する若者は一顧だにせず、ついに肉棒を秘壺に突き刺した。
「う、うぉ、気持ちいい……」
(う、嘘、こんな、また犯されるなんて……)
 アンネロッテは絶望的な気持ちで、内部をえぐる男根の感触を味わう。処女を犯された上に、今度は別の男に犯されている。それも自分を打ち負かしたわけでもない、平凡な農民の若者に。
 父親に連れられて、アンネロッテに頼みに来ていた若者は、代官がいかに非道に村を支配しているか、泣いて訴えていた。それに心を動かされて来た結果、こうなっているということが信じられなかった。

「ああ、凄いっ、もう駄目だ」
 自分の快感のためだけに遮二無二腰を動かしていた若者は、すぐに限界に達する。
「おい、中に出すんじゃねえぞ。女をまわす時のルールだ。中に漏らしたらちんぽを切り取るからな」
 自分は膣内に放出したくせに、男が高圧的に言う。
「くぁっ」
 それを聞いて、慌てた若者がにゅるっと男根を引き抜くと、膨らみきったそれが爆発する。
 どくっ、どくっ
 先端から発射された粘液は、激しく飛んで、アンネロッテの美貌に降注いだ。
「きゃぁっ」
 むせるような異臭を間近で嗅がされて、紅潮した頬に白い汚辱がへばりつく。若者はさらに男根をアンネロッテの顔に近づけて、大量の精液を小便でもかけるように放出する。
 脈打って精液を出す男根を、片目をつぶって間近で見る。アンネロッテは心まで汚されていく気がした。

「くくく、なかなかいい趣味しているな。さあ、次はどっちだ?」
 代官が言うと、棟梁と呼ばれた片手を吊った男が、目をぎらつかせて、アンネロッテに飛びつくようにのしかかる。取り出した男根を何の躊躇もなくアンネロッテの秘肉にずぶずぶと埋め込んだ。
「い、いやっ、やめてぇ……」
 さっきまでとは異なる肉棒の形と動きを、女肉の内部から感じて、その異常さにおののく。代わる代わる別の男に犯されると、アンネロッテは、まるで自分が犯されるための人形になったように感じる。絶望と屈辱で、思わず涙が溢れた。
 男は腰を回すように動かしながら、アンネロッテの乳房にむしゃぶりついた。乳首を舌で転がし、吸い上げる。
「はぁっ、はんんっ、あん、だめぇ」
 アンネロッテは黒い絶望の中で快感を求める肉体の疼きに屈服していく。甘い声を上げながら、まるで喜んでいるようだと自覚してしまう。
「ああ、こんなまんこ初めてだ」
 しかし、この男も程なくして、うめき声を上げると、アンネロッテに埋めていた分身を引き抜く。
 そしてまたもや、アンネロッテの悩ましげな顔に近づけて、黄みがかった精液を容赦なく発射するのだった。

「さあて、村長、最後になっちまったぜ」
「う、ああ、そ、それでは」
 村長はアンネロッテに近づくと、精液にまみれた顔でアンネロッテが哀願する。
「ああ、もう許して、お願い……」
「す、すまん」
 村長は上擦った小声でささやくと、細い腰に手をかけ、女体をうつぶせにひっくり返す。
 足をテーブルから下げさせ、豊かな尻の丸みを自分に向けて、それを撫でさすった。
 尻の合わせ目を拡げると奥から、ぷっくりとした淫唇が顔を出す。蒸れて熱を持ち、かき回されて白濁した愛液が、垂れ落ちる。
 そのあまりに淫らな女神の秘所を目にして、村長は我を忘れた。ズボンを下ろして太い肉茎を取り出すと、秘密の泉に差し込んでいった。
「ああ、そんな、また……あんっ」
 アンネロッテはもはやすすり泣くようにして声を漏らす。これで処女を失った同じ日に四人の男に犯されたことになる。
「あんっ、あんっ、あんっ、あぁんっ、んあっ、あんっ」
 村長は年齢の割に力強い抽挿で、アンネロッテを背後から犯し貫く。その度に丸い尻肉を打つ、ぱんっ、ぱんっ、と言う音が響く。それを恥ずかしく感じる一方、自暴自棄なった心は甘い声を抑えられず、快感のままに恥ずかしい音と声を合わせてしまうのだった。

「お、俺、また堪らなくなったっす。しゃ、しゃぶらせてもいいですか」
 村長の息子が、上擦った声で代官に聞いた。
「おいおい、親父がやってる最中だぜ、全くしょうがねえな、くくく」
 代官はおかしそうに笑うと、あごをしゃくって許可を与える。
 息子はアンネロッテの腕を縛る革紐をつかんで、水平に回すようにテーブルの上から上体をおろすと、その顔に立上がった男根を近づけた。
「ああっ、あんっ、そんなっ、いやっ、んぶぅっ」
「歯を立てるなよ」
 喘ぎ声の漏れる可憐な唇に肉棒を強引にねじ込むと、精液に汚れた顔を両手でつかんで騎士姫の口を犯し始める。
(そんな、汚いっ、こんなものを口に入れられるなんて……)
 男の排泄器官を口に入れられ、舌に押しつけられる。苦みと酸味を感じる暇もなく、熱い肉棒は性急に動いて、口腔内の内壁に擦りつけられる。
「ははは、どうだい親子のちんぽを両方いっぺんに咥え込むなんて、なかなかできる事じゃないぜ」
(ああ、こんな酷いことをされてるのに気持ちいい……。私はもう汚されてしまった、身も心もすべて……)
 湧き上がる背徳感と絶望が、全てを甘い快感に委ねさせていく。
 親子の手が体をまさぐり、下を向いて揺れる乳首や秘唇の間から顔を出す肉真珠を弄くって、さらなる快感を体中に走らせていった。

「んんーっ、んんっ、うぐぅっ、んんんーーーっ」
 アンネロッテの鼻から、激しく息が漏れる。体を走る快楽が限界に近づくのを、怖れと期待をもって感じていた。

「くっ、もうだめだっ!」
 一足早く息子が限界に達して、唇から肉棒引き抜くと、二回目の顔射をアンネロッテに浴びせる。
「ぷはっ、あんっ、あぁんっ、ああっ、いくっ、もう、いっちゃうぅぅっ!」
 新鮮な粘液の熱さを顔面で感じながら、アンネロッテは背中を弓のように反らす。そして打ち込まれる太茎を喰い締めながら、口を丸く開いて獣の様な声を絞り出す。
「ほぉぅ、ふおぉぉぉぉぉぉぉんっ」
 脳天からつま先まで、快感の波が駆け抜け、全てを押し流される。視界に星が散って体中が痙攣した。

「くぅっ」
 アンネロッテが絶頂している最中、村長はかろうじて男根を引き抜く。そしてアンネロッテに尻餅をつかせると、ぴくぴくと痙攣している女体に向けて大量の精液を振りかけていくのだった。


 アンネロッテは地面に足を投げ出し、テーブルの足に背をもたれさせ、放心状態のまま荒い息を吐いている。その顔はもはや、精液がかかっていないところがないほどに蹂躙されている。
「くっくっく、中に出すなとは言ったが。全部顔にかけろとは言ってないぜ。あーあ、酷い面になっちまって」
 男はそう言ったが、粘液にまみれてもなお美しさを感じさせるのは、元の造形があまりに整っているからか。女神のように高貴な美貌が最も下品な液体で汚されている様子は、堪らなく淫猥だった。

「さてさて、どうだい兄弟達。叛乱の騎士姫アンネロッテを犯した感想は。良かっただろう」
「はい、なんとも夢のような心地でした……」
 村長は、慌ててズボンをはきながら答える。未だ興奮冷めやらぬという様子だ。
「ははははは、もしこいつが自由で剣を持っていたら、お前達など百人いても、全員撫で切りにされていただろうな」
「は、はあ、恐ろしいことです。これもベルトラン様が捕えなすったおかげで」
「こうして縛っていれば、無力な小娘と変わらん。お前らのちんぽでもひいひいよがる」
 そう言って代官は剣を納めた鞘の先で、アンネロッテの股間をつつく。
「う、うう……」
 アンネロッテは思わず悔しさに歯がみする。もはや心など砕けたつもりでも、身に染みついた騎士の誇りが反応してしまうのだ。

「こいつらは、民衆のために戦っている、圧政者を倒すのだと主張しているな」
「よ、世迷いごとです、わしら農民は平和に暮らすのが一番で」
「そうかい。こいつはお前達の平和な暮らしを乱すから、犯して思い知らせてやったんだな」
「は、はい、おっしゃるとおりで」
「こいつの仲間には、こいつのように強くて美しい女が多いらしいぞ。チャンスがあれば、そいつらも同じように犯してやりたいかね」
「そりゃあ、もちろん、喜んで。ベルトラン様について行きます」
 下卑た笑いを張り付かせて答えた息子に、村長は出しゃばるなと睨んだ。
 アンネロッテは仲間のことを思い出して、さらに心が痛む。姉妹達が今の自分のような目に遭うと思うと体が震え、怒りが魂の奥底から湧き上がってきた。

「くくく、そうかそうか。お前達村民とも分かり合えて良かった。すれ違いもあったが、これからも村の統治のために協力してくれよ。では、今日はお開きにしよう。おい、立て」
 男は腕を引き、立たせた。アンネロッテは、ふらつきながらも歯を食いしばって自分の足で立つ。
 輪姦された恥辱と絶望はそのままだが、アンネロッテの強靱な精神は砕け散ってはいなかった。

「おっとそうだ、一つ肝心なことを忘れていた」
 男は優しい口調で突然言う。アンネロッテから手を放し、部屋の扉の前に立ち、一同を見渡した。
「な、なんでございましょう」
 男は剣に手をやり、満面の笑みを浮かべる。黒い喜びを露わにした、凶悪な笑顔だった。
「犯人自身をまだ尋問していないじゃないか。なあ、アンネロッテ、正直に答えろ。誰かに頼まれて俺を倒しに来たんじゃないのか。もしそうなら、俺はその反逆者の首を切って処刑するつもりだ」
 代官の猫撫で声を聞いた村長と、その息子は呆気にとられる。数瞬後、何を言っているのかを理解した二人は真っ青になって震えだした。
 アンネロッテが自白したら、自分達の命はない。そしてそのアンネロッテを自分たちは強姦したばかりなのだ。
「ベ、ベ、ベルトラン様、い、一体何を……」
「さ、先程こいつはっ、自分一人の判断で、たまたまこの村に来たと」
「あれはお前達の尋問中に口を挟んだだけだ。それに、今なら別のことを言うかもしれんだろう。くくく、どうした。なぜそんなにぶっ倒れそうな顔色なんだ。さっきまで元気よくアンネロッテを犯していたじゃないか、最高のおまんこだったろう」

 アンネロッテも傷ついた精神で、じょじょに代官ベルトランの言葉の意味を理解していった。

 それと共に真っ黒な怒りが湧き上がる。
 先程まで自分を犯していた男達。まるで物のように性欲のはけ口にされた。やめてと必死に頼んだのに、ためらう素振りもなく嬉々として犯した。
 いやらしい男根を体の内部に無理矢理さし込まれ、嫌なのに体が反応してしまう時の耐え難い恥辱。さらにはわざわざ汚らわしい精液を顔にかけて、女の尊厳を辱めまでした。
 その彼らが、今や恐怖に怯えている。助けを求めておきながら、それに応じて捕えられた私を助けるどころか、凌辱して返した忘恩の徒ども。弱く、誇りもない下等な精神が、私の誇りと名誉を汚し尽くした。
 どう考えても自分には彼らに復讐する権利がある。いや、復讐しなければならない。

 その激しい内なる叫びを、アンネロッテは歯を食いしばって耐えていた。
 この黒い怒りに身を任せて、あの男に「そうだ村長達に頼まれた」と言えば、男は喜んで彼らの首をはねるだろう。
 しかし、それは悪だ、自らの殉ずるべき騎士の規範にもとる、そう断言するもう一つの内なる声があるのだ。
 嵐のように荒れ狂う怒りに耐えているうちに、その声が明瞭になる。
 本当の悪は目の前にいるこの男だ。全てはこの男の仕組んだこと、この男が私を差し出さなければ、村長達も私を犯したりなかった。村長達の罪は罰が必要かもしれない、しかし罪を罰するのは正義であって悪ではない。この男の思惑に乗ってはいけない、それは悪への誘惑だ。
 
 アンネロッテは亡き養父ならばどうしただろう想う。
 自分に騎士の名誉、倫理、生き方の全てを教えてくれた父。父ならば決してこの復讐の誘惑にのらなかっただろう。弱き民を守るのが騎士の努め、その弱さゆえの罪も許すべし、と。
 しかし父上は女ではなかった。凌辱され弄ばれた女の苦しみを知るはずもない。こんなに汚され、貶められた自分が、以前と同じように、父の望んだような誇り高い騎士でいられるのか、それすらも分からないのだ。

 叫び出したくなるような内心の苛烈の葛藤を秘めて、アンネロッテは目をつむって沈黙していた。
 代官は嗜虐的な笑みを浮かべ、村人は震えながら死刑宣告を待っていた。
 アンネロッテが深く息を吸った。
「……私はっ、自分の意思のみで貴様を討ちに来たっ。誰の頼みも聞いていないっ。言うことはそれだけだっ」
 アンネロッテは、喉から振り絞るように、自分の答えを言った。
 そして、肩を震わせ、声を上げて泣き出す。
 身を切るような自分の選択が正しいかどうかも分からず、ただひたすら、何もかもが哀しく、悔しかった。
 次から次へと涙があふれ、その部分だけ、男の精液を洗い流す。

 村長が安堵の表情を見せる中、代官の笑みが険しく変わる。アンネロッテに近づくと、形の良いあごをつかんで自分の方に向ける。
「……本当にそれでいいのか?」
 アンネロッテは何も言わず、泣きながら頭を振ることしかできない。
「ベ、ベルトラン様。これで私たちの疑いも、晴れましたでしょうか。お、犯されてまでこう言っているのですから……」
 代官の剣の鞘が村長の股間を打ち上げる。村長は頓狂な悲鳴を上げて、床に悶絶した。
 あっけにとられる他の二人も、電光石火の動きで同じ目にあう。
「今日のところは、命拾いしたな」
 代官は、転がる三人を尻目に、泣きじゃくるアンネロッテを乱暴に引っ張って部屋から出て行った。

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第二章 羞恥のパレード

「ああ……」
 アンネロッテがうめき声を上げて気がつく。いつの間にか、柔らかい草むらの上に寝ていた。
 何も身につけない裸を陽光に晒し、両手は革紐で縛られて近くの木に、繋がれている。
 股間のうずくような痛みが、つい先程まで凌辱されていたことを思い出させる。快楽に屈服したアンネロッテは再び絶頂に押し上げられて、そのまま気を失ったのだ。
(……私は、汚されてしまった……。あんな男に犯されて、快感に流されてまるで獣の様に……ああ)
 誇り高く潔癖な騎士姫の瞳から、止めどなく涙がこぼれる。うら若き乙女には、あまりにも辛い現実であった。
(いっそ、舌を噛み切って死んでしまおうか……、ここまで辱められて、もはや騎士の誇りを守るためには、それより他に途はない)
 絶望に満たされた中で、そんな誘惑が頭をよぎる。
(いや、そんな事をして、どうしてあの世で父上にお会いできる。それに、今も待ってくれている仲間達がいる。私を信じて、叛乱に参加している姉妹達が。まるで町娘のように男に犯されて自殺したなどと聞いたらどう思うだろう。しっかりするのだ、これしきのことで……)
 アンネロッテは唇を噛んで、誘惑を退ける。大義のために我が身を捧げると誓った自分が、自ら命を絶つなど許されることではない。それでも、頬を流れる涙は止まりそうになかった。

「よう、気がついたようだな」
 男が館の方から戻って来た。普通の服を着て剣を履いている。
 傍らにはロバを引いて手綱を握っていた。
「さ、触るなっ、何をするっ」
「あんなに、ぴったりくっついて気持ち良くなった仲じゃねえか。今更恥ずかしがるなよ」
 男は軽々とアンネロッテを持ち上げると、ロバの背にまたがらせた。
「そんな、あふっ、直接あたる……」
 柔らかい秘肉が獣の背中に押しつけられ、毛皮に刺激される。乾いたのは表面だけで、まだ湿っている内部から蜜がこぼれそうだった。
 鞠のような尻肉が割り開かれ、ひしゃげて形を変える。
 男はアンネロッテを後ろ手に縛り直し、本来荷車を固定するためのベルトに止める。アンネロッテは降りることはおろか、上体を反らし気味にして胸を突き出すような姿勢で固定された。
 

「さて、行くぞ」
 男はアンネロッテの尻をぴしゃりと叩くと、ロバを引きはじめた。
 ロバの歩調に合わせて、アンネロッテの股間に振動が伝わる。鞍も鐙もないため、不安定な状態では、張り出す乳房が、上下左右に揺れてしまう。
(くぅっ、騎士たる私がこんな、罪人みたいに……)
 本来ならば勇壮な軍馬を駆って自由に戦場を疾駆するアンネロッテにとって、これほど屈辱的な騎乗はない。
 抵抗できぬ我が身を恨んで、無言によって屈しない意思を示すのが精一杯だった。
 男はそれを面白がるようにして、卑猥なからかいを口にしながら、アンネロッテの柔肌を触ってくる。
 敏感な乳首や股間までもいいように弄られながら、アンネロッテは真っ赤な顔で唇を引き結んで、それに耐えていた。

 しかし、しばらくロバの背に揺られて進んでから、アンネロッテは恐ろしいことに気がつき、思わず声を出した。
「わ、私をどこへ連れて行くつもりだ!?」
「どこって、ボレック村さ。村の奴らに聞きたいことがあるからな」
「ま、待て。せ、せめて、何か一枚羽織らせてくれ。このままじゃ見られてしまうっ」
 アンネロッテは、思わず焦り声で頼んでしまう。
「駄目だね。せっかくのきれいな体だ、あいつらにも眼福を味合わせてやろう。くくく、これも上に立つものの義務だ」
「そ、そんな、まさか……」
 アンネロッテは男の本気を感じて愕然とする。憎むべき敵側とはいえ、公的な役人である代官が、若い女を裸にして見せびらかそうする事が信じられなかった。
 目の前の男が、世の良識と言うものを踏みにじって平然とする人間だと、ようやく理解したアンネロッテは、恐怖の目で男を見るのだった。。
 
 焦りと恐怖で混乱しているうちに、すでに村の外れに着いていた。
 農作業の帰りか、鍬を持った若者が、純朴そうな顔に驚愕が浮かび、目を見開いてこちらを見ていた。
「いやぁっ……」
 思わずか細い悲鳴を上げる。羞恥に頭が沸騰する思いである。
 アンネロッテは身をよじって逃れようとするが、手首に紐が食い込むだけで死刑台たるロバの背から降りることはかなわない。

「おい、小僧! 代官が村長に会いに来たと伝えろ。ぼけっと見てるんじゃねえ! とっとと走れ!」
 男が大声でどやしつけると、若者は跳び上がるようにして村の中へ駆けていった。

 そして、その怒鳴り声が響いたためか、狭い村の中から何事かと人が集まってきてしまった。
 村人達はロバの上で上気する完璧な女体を、一様に驚愕の目で見つめている。平凡な小村が突然に非日常の空気に包まれる。その原因として一身に注目を集めているのは、他ならぬ自分の裸体だということを、アンネロッテも意識せざるを得なかった。
 誇り戦い騎士姫にとってはまさに悪夢のような状況であった。
「ああ……嘘、こんなの嘘よっ、あんまりだわ……」
 容赦ない視線に素肌を刺され、アンネロッテは羞恥の余り激しく横に首を振る。若い女体が波打って、張り出した大きく乳房が揺れた。

「お母さん、何であの人裸なのお?」
「しっ、見るんじゃありません、家の中に入ってなさい!」
「綺麗だなあ、まるで妖精みたいだ……」
「ふん、あんなおっぱいが大きい妖精はいないわよ、乳首まで立たせちゃっていやらしい」
「きれいな肌……抜けるような白ってああいうのね」
「わ、割れ目まで見えるよ。下の毛も銀髪なんだ」
「やだ、あの出てるのってもしかして、クリ・・・・・・」
 村人達は、代官への恐怖のためか、ささやき以上の声を上げない。一方それにはどこか抑えきれぬ興奮が混じっていて、アンネロッテの羞恥心を責め立てる。
(ああ、お願い、見ないで……)
 賛嘆や品定め、哀れみや嫉妬、淫猥な視線と声を浴びせられながら、アンネロッテの行進は続く。男は髪の毛を引いて、顔を下げることすら許さない。羞恥で真っ赤になったその顔は、発情しているようにも見えて、たまらない色気を醸し出していた。

「可哀想に、あいつに犯されたんだな」
 呟くような声が耳に入り、アンネロッテを恥辱で苦しめる。先ほど男に処女を散らされ、よがり泣かされていたこと全てが知られてしまったような気がした。
(ああ、いっそ死んでしまいたい……)
 再び自決の誘惑が首をもたげ、アンネロッテははらはらと涙を流すのだった。

 村の中程にある、大きな家の前で、ようやくロバののろい歩みが止まる。家の前では、アンネロッテも見知っている村長が、恐怖に引きつった面持ちでで立っていた。
「ベ、ベルトラン様、ご機嫌麗しゅう……」
「よお、村長。くっくくく、確かに機嫌は悪くないぜ」
 そう言って男はアンネロッテをロバの上から、太股を持って抱え上げる。
「い、いやぁぁぁっ!」
 絹を裂くような悲鳴がアンネロッテの唇から漏れる。
 まるで幼子に小水をさせるために抱え上げるような姿勢で開脚させられたのだ。股間の秘密の肉割れが全て白日の下にさらけ出される。
 度重なる振動のせいでそこは刺激されてうっすらと赤く充血している。花びらは濡れほころんで、奥の穴までその姿を現し、そこから犯された証である白い液体が垂れてくるのだった。
 あまりにも淫猥なアンネロッテの秘唇の様子に、どよめきと、若い女の悲鳴が上がる。
 アンネロッテは恥辱の衝撃で気も失わんばかりである。
(み、見られている・・・・・・私のいやらしい部分が、全部、ああぁっ)
「こんな上玉が俺をぶち殺しに来てくれたからな。おかげでたっぷりと楽しませて貰ったぜ。くくく、全くこいつをよこした奴に感謝したくらいだ、なあ村長」
 男はわざと見せびらかすように、ゆっくりとアンネロッテをおろす。
 そしてそのまま崩れ落ちるアンネロッテを引きずるようにして、赤くなったり青くなったりしている村長の家の中に入っていった。

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第一章 散らされる処女花

 アンネロッテは今、両手を革ベルトで水平に張り出す木の枝に縛られ、万歳の格好で若い肢体を吊されている。
 なんとか地面に足はつくが、腕に力を入れても、池のほとりに立つ太い樫の木の枝はびくともせず、せいぜい胸当てからはみ出た乳房が揺れるのみだった。

「ふう、やれやれ、久しぶりにこんなもん着けると重くてしょうがないな」
 代官の男は、そう言って鎧兜を脱いで放り出すと、元の粗末なズボンのみの姿に戻る。
 そして自らの獲物の優美さに感嘆するように、じっくりと自由を奪ったアンネロッテを眺めるのだった。
「叛乱の騎士姫アンネロッテ、その正体はクロイツ辺境泊の長男アルフォンス。あの盾側から来る剣はクロイツ騎士の技だな。知らなかったら、やばかったぜ」

「くっ、この……」
 卑怯者、と言いかけてアンネロッテは言葉を飲み込んだ。
 達人級の技量を隠していた男に騙されたという悔しさがあるが、それは闘いの駆け引きである。騎士団での試合ならともかく、真剣勝負で言えることではない。完全に相手が一枚上手で、してやられたのだ。
 悔やんでも悔やみきれないのは、ただの小物と見て油断していた自らの未熟さだった。
 アンブロシウスに乗って戦えば、せめて隠し持っていた小剣の存在にもっと注意を払っていたら、と自由を奪われた今となっては詮無い考えだけが頭の中を駆け巡る。

「女王のクロイツ領討伐の後、父と仲間の仇を討つため、たった一人で女王暗殺を試みるも失敗。その後、周辺地域で叛乱活動を行う。亡国の公子ならぬ姫の復讐流離譚か、泣かせるねえ。」

「私をどうする気だ。ガイノスに引き渡すのか?」
 あくまで毅然とした態度を装って、アンネロッテは尋ねる。
 このようなところで女王の部下に捕まり、行く末は王都での処刑かと思うと、恐怖よりも、情けなさや、信頼してくれた仲間への申し訳なさが勝る。

「さて、上に報告すると、ガイノスまで連行するか、お偉いさんを迎えねばならないな。どっちにしろ面倒なことだ。そんなことに時間を費やすのはごめんだな」
 それを聞いてアンネロッテは不審を覚える。
 自分を捕えたとなれば、かなりの報奨と出世が約束されるはずだ。金で地位を買った代官のくせに、そういったことには興味がないのだろうか。

 ほんの少しの希望を抱いたアンネロッテが言葉を発するより早く、男が言った。
「それよりも、聞きたいことがある」
 男はアンネロッテの目の前に立つと、凄みをきかせた目を向ける。
「どうして、こんな辺鄙な村にわざわざ来た? 村の奴らに頼まれたのか? 村に住み着いた悪鬼をぶち殺してくれってな」
「……私一人の、自らの判断で来たのだ。誰に頼まれずとも、暴虐を振るう女王の配下を放ってはおかん」
 それだけ言うと、アンネロッテはこのことについては何も喋らないと言うかのように、唇を引き結んで、そっぽを向いた。

「ふん、まあいいだろう」
 男は酷薄そうに唇を歪めて言うと、ポケットから薬瓶を取り出して緑色の中身をあおった。

「それにしても、美しいな。回状によると、最近まで男の振りをしていたそうだが、そんないい体をしていて、よく周りが騙せたもんだ。クロイツ騎士団の男は目が節穴だったのか?」
 男はアンネロッテの周りを歩いて、自由を奪われた体を全方位から舐め回すように眺める。
「貴様っ、騎士団への侮辱は許さんぞ!」
 アンネロッテは美しい頬を真っ赤に染めて怒鳴る。
「本当のことだろう。胸も尻もこんなに生意気に張り出してやがる。どうしたら男に見えるってんだ」
 男は、後ろからアンネロッテの尻をスカートごしに撫で回す。アンネロッテは突然のいやらしい手つきに逆上した声を上げる。
「なっ、よ、よせっ、そんなところを触るなぁっ……。あっ、何をする!?」
 ガチャガチャと金属音が鳴り、ぴったりと体に寄り添う重みが変化する。男が後ろから鉄胴を外そうとしているのだ。
(そ、そんな!? これを外されてしまったら、その下は……)
 アンネロッテは焦りのあまり口をぱくぱくさせる。
 なんとか止めさせようと尻を振って体をよじらせるが、大した妨害にはならず、男は複雑な仕組みのベルトと金具を少しずつ緩めていく。

「や、やめろぉ! こんなことをして何になる! あっ、だめぇっ」
 ようやく声を出した途端、ついに華麗な装飾の鉄胴は前後の部品に分かれ、音を立ててアンネロッテの足下に転がる。
 同時に押さえつけれていた胸の膨らみが解放されて、ぽよんと弾むと、そこにそよ風の涼しさを感じる。アンネロッテは今、以前は必死で隠してきた自らの女のしるしを陽光の下に放り出したことを悟る。

「あぁっ」
 アンネロッテは羞恥のあまり、弱々しい声を上げてしまい、その自分の声にさらに恥じ入る。
「くくく、流石に鍛えてるな。踊り子みたいな美しい背中だ。さて、前の方はどうかな」
「や、やめろっ、来るなっ、見るなぁ……」
 アンネロッテの必死な声色にも頓着せず、男は一度アンネロッテから離れ、焦らすようにゆっくり大股で前に回ってくる。

「ほほう、こいつは凄い。まるで芸術品だ」
 アンネロッテの正面で、思わず素の本音が出たように男が呟く。

 実際それは、自然の生んだ芸術品だった。
 女らしくなよやかな胴体に、広い底面積を取って半球型に大きく盛り上がっている。
 重力に逆らって一切の型くずれのないその曲線は全てを受け止めるがごとく優しく柔らかい。
 頂点では薄紅色の乳輪が真円で僅かに盛り上がり、可憐に突き出た乳首が主の激しい動悸に合わせて儚げに揺れていた。

「~~~~~~~~~~っ!」
  アンネロッテは恥ずかしさのあまり、声にならない声を上げる。
 頭上に腕を縛られ、胸を隠すどころか前に突き出さざるを得ない状態だ。思わず、目を堅くつぶって、真っ赤になった顔を振り、体を激しく悶えさせてしまう。
 それによって、豊かな乳房が弾力のある柔らかさを強調するように揺れる。そのことが一層アンネロッテの羞恥心を苛むのだった。

 アンネロッテは女であることを隠し、男として育てられた。
 しかも、勇猛なるクロイツ騎士団の一員となるべく、団長たる伯爵の長男アルフォンスとして育てられたのだ。
 アルフォンスであったとき、育ちすぎた乳房は、絶対に隠しておくべき秘密だった。
 もし、誰かに見られでもして、女であることを知られてしまったら、尊敬する仲間達の自分を見る目が変わってしまうかも知れない。それが何より恐ろしかった。
 騎士団は女王の軍隊により殲滅され、アンネロッテは女王との一騎打ちに負けた。
 それ以来アンネロッテは女であることを隠すことを止め、美闘士として生きていくことにした。
 それが、尊大に自らを誇示する女王の強さに近づくために必要だと思ったからだ。

 それでも、長年男として振る舞ってきた心根は一朝一夕には変わらない。
 アンネロッテ自身は、自分は男だろうが女だろうが誇り高き騎士であることは変わらない、と自らを律してきた。死んでいった仲間のため、苦しむ大陸の民草のために、騎士として女王の暴虐に抵抗するのだと。

 その自分が今、女王軍の末端である代官に鎧をはぎ取られ、女の象徴たる柔らかな乳房を剥き出しにされている。男のいやらしい視線を、乳房に直接触られるように感じて、柔らかいそこを逃れるように揺らせてしまう。
 耐え難い恥辱であった。自分が自分でなくなってしまうような気がした。
 しかし、アンネロッテは泣き叫びたくなる気持ちを、騎士としての誇りをよすがに必死に抑え込む。
 歯を食いしばって、うつむいてしまいそうになる赤い顔をなんとか持ち上げた。ぶるぶると震えながらも、涙でにじむ目で男をにらみつける。
「下種めっ、こ、このような辱めで、私は屈したりはしないっ……」

 それに対して男はさもおかしそうに笑う。
「おやおや、おっぱいを見られたくらいで真っ赤になっちまって。なんとも純情な騎士姫様だぜ。半分くらいは、はなから見えてたじゃねえか」
「だ、黙れっ」
 女であることを隠さないことと、女の部分を無理矢理見られることは全然違う。自分が強さを最も発揮するために選んだ格好と、自由を奪われ惨めにさらけ出されることを一緒にするな。
 アンネロッテはそのようなことを思ったが、屈辱に血が上った頭にそこまで言葉が回らない。

「こんな、揉み心地の良さそうなおっぱいを、半分だけ見せつけるなんて男にとっちゃ目の毒だぜ」
 男は、無礼な両手を伸ばすと、下から持ち上げるように豊乳を揉んだ。
「ああっ、いやっ、よせ、触るなぁっ」
「おおう、本当に夢のような揉み心地だぜ」
 男の指は太く長い。その無骨な指が意外にも繊細に動く。
 誰にも触らせたことの無かった乳房から、かつて味わったことのない複雑な感覚が送られてくる。くすぐられるようでいて、それより強い刺激だ。
 その未知の感覚にアンネロッテはパニックになった。
「ひゃっ、ひゃぅっ、やめろぉっ」
 無意識に、足が動いた。
 アンネロッテの前蹴りが男の腹に直撃した。男は突き飛ばされて仰向けに倒れる。

「あいてててて、揉み心地に油断したぜ。足癖の悪いお姫さんだな」
 男は、いやらしい笑みで余裕を見せながら立上がった。
 吊られた状態では、体重もかけられず、腰を入れることもできない。正面から入ってもダメージを与えられた様子はない。
 それでも隙をうかがって金的を狙えば、気絶くらいさせられたかも知れない。後悔するがもう遅かった。
 男は近くに生えている蔦を切り払ってくる。アンネロッテは、近づいたらもう一度蹴りを食らわせてやると足を上げる。しかしその不安定な足を、男はやすやすと掴み取る。

 男は手早く足首に蔦を巻き付け、それをアンネロッテの両手を縛る木の枝にかける。蔦を引っ張っぱると、アンネロッテの長く優美な右足が高々と引き上げられる。
「ああっ、よせっ」
 そのまま足首を枝に縛り付けると、アンネロッテは両手のみならず右足をも、頭上に掲げる、いわゆるY字バランスの姿勢で固定された。

 戦士の基礎として柔軟な体を作ってきたアンネロッテは、その不自然な姿勢でも痛みを感じることはない。
 だが、縦に大開脚させられると、薄く軽い素材の短いスカートは、腹側にめくれて下に垂れ下がる。腰回りを隠すためのそれは、もはや役割を果たせなくなった。
 むっちりと健康的な太ももが、付け根までもまぶしく見せつける。その先には、女として最も秘めやかなる部分を守る薄布が、その全貌を露わにするのだった。

「いい恰好になったじゃねえか、お転婆の騎士姫様には似合いの姿勢だ」
 うつむいて横を向いたアンネロッテの目に、池の水面に映る自分の姿が見える。無惨にも乳房を剥き出しにされ、手足を縛られ大股開きの自分だ。
 伸びやかな肢体を強調するような美しい姿でもあったが、アンネロッテ自身には、女体のいやらしさを見せつけているように見えた。
(こ、これが私……、誇り高い騎士となるべく精進を重ねてきた私が……)
 厳しく自己を律してきたアンネロッテは、悔しさとショックで声も出なかった。


「お、こいつはいい手触りだ、高級品だな」
 男の手が下着ごしに尻を撫で回す感覚に、アンネロッテは我に返る。
「くくく、なるほど騎士姫とは、騎士の鎧をまとっても肝心のこの部分はお姫様ということか」
 下着をいやらしい目つき検分すると、男がからかう。

 薄い桃色と紫の混じった色は、高級な絹にしか出せぬ光沢を帯びる。繊細なレースに飾られ、ぴったりと張り付く薄布は、美尻のみならず股間の膨らみすらも明らかにする。
 確かに可憐な令嬢や姫君が身につけるに相応しい代物だった。

「戦ってる最中にちらちらと見せつけるから、気が散ってしょうがなかったぜ。こいつも騎士姫様の武器ってわけかい」
 男はわざと、下着に顔を近づけてはじっくりと見ては、匂いをかぐ振りをした。
「そ、そんな訳があるかっ! み、見るんじゃない! ああっ、そんなところを嗅ぐなあっ!」
「ん、そういや、ガイノスの高級娼婦もこんな下着を着けてたっけな。じゃあこいつが隠してるのは、お姫様か、それとも娼婦か、どっちかな」
「き、貴様ぁ、許さぬぞ、あぁっ、やめろっ、そんなところぉ」
 アンネロッテは鼠蹊部を撫でられ思わず悲鳴を漏らした。

「ふふふ、そうだな。こっちより先に可愛がってやらなきゃならんところがあったな」
 男は顔を上げると、アンネロッテに向かっていやらしく笑う。そして両手を伸ばすと、無防備な脇腹を十本の指で触れる。
「ひゃっ、ひゃぅぅっ」
 敏感な肌を刺激され、アンネロッテはびくっとして変な声を漏らす。
 そのまま胸骨に沿って指を滑らせる。その終着点は胸にそびえる双丘のふもとだった。

 もはやアンネロッテに一切の抵抗の手段は無い。
 騎士の誇りを支えるものは卓越した武技であり、その強さも手足を縛られては発揮できない。
 誇り高き騎士姫も、今は恥辱を噛みしめながら、男の掌中にその柔乳房を全て捧げるしかなかった。

「あふぅっ、よ、よせ、だめだっ、そんな触り方、するなぁっ」
 中年男の、執拗にして精確な愛撫が乙女の豊乳を襲った。
 ときに楽器を弾くように繊細に十指が動き、ときに荒々しく脂肪を揉み上げる。その度に騎士姫の柔乳は自在に形を変え、手を放すとぷるんと元の美丘に戻る。
 それが楽しいのか、男は乳房を弄ぶのに一向に飽きる様子はない。

 そして、アンネロッテの方にも変化が現れた。
 はじめはくすぐったさが勝っていた。目立ちすぎる自分の女の部分を、いいように触られる恥ずかしさも強かった。
 それがだんだんとくすぐったさではない感覚が生まれてきたのだ。
 男の手が優しく乳房をこねる時、指で丘を縦になぞるとき、そして恥ずかしい乳首に触られた時、電流のようなパルスが内奥に走って、ビクッと体を痙攣させてしまうのだ。
 それをされる度に、なんとも切ない気分が湧き起こって、もっともっと同じ感覚を味わいたくなる。
(な、なんだこれは。私の体が変になってしまうっ……)
 ずっと男として振る舞うよう育てられたアンネロッテは、自分の女体が享受すべき快楽に関して全くの無知であった。
 今感じているのが、性感なのだとすら分からず、怯え、混乱するのみだった。

「ああっ、はんんっ、い、いい加減にしろ! い、いつまでやっているんだ、あふぅん」
 知らず知らずアンネロッテの出す声には、甘い喘ぎが交じるようになった。
「どうだ、気持ち良くなってきただろう。巨乳の癖に敏感だな、このいやらしいおっぱいは」
「な、何を馬鹿なことをっ。全然気持ち良くなんか、ない、はぅっ」
 嘘ではなかった。彼女にとって、まだその感覚を気持ち良いと認識できなかったのだ。
 しかし、男はそうは取らなかったようだ。

「それじゃあ、こういうのはどうだい」
 男は正面に張り出す乳房に顔を近づけると、広い舌で薄紅色に震える先端を思い切り舐め上げる。
「あひゃぁん!」
 熱くぬめりながら、ざらりとした感触が乳首を通して電流になり、アンネロッテは思わず悲鳴を上げた。
「ふふふ、これだけ見た目が美味そうだと、本当に甘く感じるぜ」
「なっ、なっ」
 乳首を味わわれるという行為のいやらしさと、それに対する自分の反応に驚いて、アンネロッテは言葉も出ない。

 続けて男は、肉丘の頂点をかぶりつくように口に含む。そして、舌で肉蕾を転がし、吸い付き、甘噛みする。
「はぁん、ああっ、だめっ、あふぅ、あぁん」
 男の舌の蹂躙に対して、思いも寄らぬ甘い声を上げてしまいアンネロッテの困惑は深まる。
(ああっ、こんなことされたくないのに……どうして甘えて喜んでいるような声が出てしまうんだっ)
 男は口を離すと、今度はもう一方にむしゃぶりついて、同じように恥じらいの山頂を味わい尽くす。
 唾液まみれの片方も、指につままれ、引っ張られたり、弾かれたりと、なおもいじられ続けた。
「はぅぅっ、くっ、あっ、や、やめろぉ」
 身動きの取れない状態で、いいように両乳首を弄ばれるアンネロッテは、体を走る電流に悶える。

 アンネロッテも、これが性の快感なのだと、薄々気が付きはじめていた。
 もちろん男女が交わり快感が生まれることは知識と知っていた。しかし、それはもっと穏やかな、仲間と抱き合った時に感じる暖かさの延長のようなものだと思っていたのだ。
 思春期を身も心も男になりきるつもりで過ごしたアンネロッテの性に対する意識は、実は子供のそれと近かったのかもしれない。
 そんな未熟な精神面に対して、うら若き女の肉体は既に準備ができている。
 経験に裏打ちされた男の手管で、放置されていた女体の才能は、急速に開花されつつあった。

「はぁっ」
 音を立てて男が吸い付く口をはなすと、アンネロッテは荒い息を吐く。なぜか動悸が上がっていた。
「どうだ、乳首がびんびんになったぜ。感じやすくていやらしいな、アンネロッテのおっぱいは」
「なっ、あんっ」
 指で弾かれながら指摘されると、確かに胸の突起が腫れたようにじんじんと堅く膨らんでいる。
 それが自分の快感を味わった証拠なのだと気がつくと、急に耐え難い羞恥に襲われる。。真っ赤な顔を振って、思わず否定の言葉が口をついて出た。
「う、嘘だっ、ああっ、これは、これは違う、感じてなんかないっ! あくぅん」

「ほほう、だったら、ここに染み出してるのは一体何だと言うんだ?」
 わざとらしく溜息をついて、男が剥き出しになった下着の底部を触る。
「ああっ」
 最も重要な秘密を守るそこには、いつの間にか丸い染みができて色を濃くしていた。
 アンネロッテ自身にはその様子は見えないが、触られたことで、濡れた布の感触を教えられた。
「おっぱいを弄られただけで、こんなに濡らしやがって。ははは、まさしく下の口は正直ってやつだ」
「っ、違う、違うっ、そんなのじゃないっ! ……あ、汗だ。お前が変に触るから、熱くなって汗をかいたんだっ」  
 アンネロッテも、流石に女の部分から染み出す液体の意味は知っている。
 しかし、自分の本来の性に不慣れなアンネロッテは、突然突きつけられた女体の反応を受け入れることができない。好きでもない男に体を触られて、いやらしく感じてしまっているなど、自分でも信じられないのだ。

「やれやれ、この期に及んでまだそんなことを言っているのか。どれ、だったら本当に汗かどうか、直接確かめてみるとするか」
 男はソードブレイカーの先端を、下着の側面の一番細い部分にかける。
「ま、待てっ、やめろっ」
 アンネロッテは悲鳴のように叫んだ
「いや、やめて、やめてくれ、お願いだ・・・・・・」
 ついに、それまでの強気な態度が崩れ、懇願する口調になってしまう。自分でもそのことに気がつき、真っ赤になった頬を一筋の涙が流れた。
「そ、そんなことをしても何の意味もないだろう、もうこれ以上辱めないで・・・・・・」
「それじゃあ、おっぱいをもまれて感じていたとと認めるのか?」
「くっ、ううぅっ」
 アンネロッテは真っ赤な顔を横にぶんぶんと振った。
 恥ずかしい大股開きのまま、下着を取り払われるなど、考えるだけで乙女の心は恐怖に襲われる。しかし一方、自分の女体のいやらしさを認めることも、同程度に恐ろしい恥辱であった。

「それじゃあ、やっぱり見てみるしかないな」
 男は、ソードブレイカーを軽く引く。可憐な下着の、上げられた右足の側が儚く切れた。切れた部分が垂れ下がってきわどい肌を見せながら、下着はまだアンネロッテの秘部に濡れて張り付いていた。
「ああぁっ! だめっ!」
「さぁて、これが最後だぜ。感じて気持ちよくなっていたと認めるか?」
「う、うぅぅっ・・・・・・み、認める。だから、やめてくれ、お願いだ」
 ぷるぷると震える顔が葛藤の激しさを物語る。アンネロッテははらはらと涙をこぼしながら、一方の恥辱を受け入れた。
「何を認めるんだい、きちんと言わないとわからないなあ」
 男は下着にあてたソードブレイカをなぶるように動かして、さらに自分を辱めるよう促す。
「お、お前に胸を触られて、舐められて、感じた・・・・・・き、気持ちよくなった・・・・・・ああっ、もう許して・・・・・・」
 段々と小さくなる声にはすすり泣きが混じる。
 
「くははははは、やっと認めたな、女の快感を。だけど、お前は男のふりをしていたくせに、男のことが全然分かっていない」
 そう言って男は、アンネロッテにいやらしい笑みを向けた。
「そんなエロいことを言われたら、アンネロッテのおまんこが、どんなにいやらしくなっているか、見たくなるに決まっているだろう」
 男が刃を動かすと、最後の支えが切れた繊細な布は無残にはらりと落下する。

「いっ、いやぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
 アンネロッテの最も秘めやかなる部分が、春の陽光の下に晒される。
 涼風が優しくそこを撫でるのを感じた騎士姫の口から、魂消るような悲鳴が飛び出した。
 実際アンネロッテは羞恥に魂が切り裂かれる思いだった。
「こりゃあ、いいや。お姫様はおまんこまでもお姫様か」
 無残にも縦に大きく割り開かれた脚の根本を、男は、かぶりつくようにして見る。

 そこに曝かれた乙女の秘唇は、何とも可憐だった。
 ぷっくりとふくれた二つの肉畝は、滑らかな白い肌の無毛で、柔らかそうに合わさっている。
 その合わせ目からは、薄桃色の肉花びらが、小さく恥ずかしげに顔を出していた。
 花びらの間からは透明な粘液がしみ出しているが、大開脚にも関わらず、合わせ目はぴったりと閉じている。
 肉割れの上端の先では、繊細な銀色の恥毛が萌えて、乙女の秘割れを慎ましやかに飾った。
 そこが大切に隠し守られ、何者にも触れられたことがないことは明らかだった。

「ああっ、いやっ、いやぁっ、こんなの嘘だ・・・・・・」
 アンネロッテは激しく髪を振り乱しながら、泣き叫んだ。男に、自分の女の証である性器を見られていると思うと、恥ずかしさのあまり気が狂いそうだった。
「ううっ、嘘つき・・・・・・あんな恥ずかしいことを言わせておいて、約束したのにぃ」
 アンネロッテは男に対する怒りで何とか精神を立て直そうとする。
「おいおい、俺はいやらしく感じていることを認めたら、下着をとらないなんて言った覚えはないぜ。お前が都合良く誤解しただけさ」
 そんなアンネロッテを男はせせら笑う。
「それにしても、本当に感じまくってたんだな。ぬるぬるじゃねえか」
 男は、秘割れをなぞるように指を這わせる。
「くぅっ、あぁっ、さ、触るなぁっ、はぁんっ」
「おやおや、もう感じてるのかい、こっちも敏感だな。どれ、中まで見てやろう」
「あっ、ああっ、やめろぉっ!」

 男の二本の指が、容赦なく乙女の秘門をかつて無いほどに開いていく。
 複雑によじれる肉唇が濡れ光る奥、女体の源泉たる小さな膣穴までもが男の目前に曝かれる。
「ああぁっ」
 自分ですら見たことのない秘奥の場所に、外気と視線を感じて、アンネロッテは恥辱の悲鳴を上げた。
「中まできれいな色だな。ん、こいつは処女膜か。くくく、やっぱりな。可愛いなりして、物欲しげにひくひくしているから、もしかして経験があるのかと思ったぜ」
「い、いやぁっ、見るなぁっ、あぁん、触るなぁ」
「そんなこと言いながら、蜜がどんどんあふれてくるぞ。まったく、処女のくせにすけべなおまんこだな」

 そう言いながら男の指は曝かれた秘密の部分を蹂躙する。
 陰唇をつつき、秘肉をなぶり、膣口の周りをなぞる。
「はぁっ、くぁぅっ、や、やめろっ、あふぅっ、か、体が、はぁぁん、変になってしまうぅっ!」
 胸よりもっと直接的な快感が乙女の体に襲いかかる。羞恥で灼き切れそうだった心は抗うことができず、高い声が甘えるようにのどから漏れるのを止められない。
 電流のように痺れが走り、吊された体から力が抜ける。もっともっととねだるように、腰がいやらしく動いてしまい、そのせいで豊乳までもが切なく揺れる。

「あつっ、あくぅぅぅっ」
 突然、痛いほどの刺激が走った。
「おっと、騎士姫様のクリトリスは、処女のくせに意外と立派だな、もう可愛い顔を出してやがる」
 男の言うとおりやや大きめの肉真珠が、割れ目の上の方で包皮から飛び出て、その実を濡れ光らせていた。
 男はにやりとして、それに顔を近づけると舌を伸ばして、とがらせた先端ではじく。
「あきゃっ、ひゃうぅぅぅん」
 そのまま男は乙女の最も弱い部分を、舌と唇でねっとりと責める。
「はぁぁーーっ、はあっ、はぁあぁぁん、だめぇ、そんな、汚い、はぅあぁっ」
 小水の出る陰部に口をつけられ舐めしゃぶられる。アンネロッテには嫌悪感しか感じないはずの行為だ。しかし今は、肉真珠から走る快感と共に、嫌悪感は背徳的な快美感になった。
 股間を舐める男が、そんなアンネロッテのとろけきった顔を下から見上げて、目で笑った。

 余った男の両手が上に伸びてきて、揺れ動く乳房を掴む。そして先端に屹立する乳首をつまむと、揉むように刺激をし始める。
「あはぁっ、はぅぅん、はあっ、はあん」

 アンネロッテは、三点から来る快感の波に、もう決壊寸前であった。
 縛られた体に連続して走る快感の電流はどんどん強くなる。
 高まる快感に未経験のアンネロッテは恐怖を感じた。
「ああっ、ああっ、だめぇ、私の体、はぁんっ、おかしくなっちゃうぅっ、ああっ、もうだめぇ!」
 あえぎ泣く乙女にも男は容赦せず、震える肉真珠を甘噛みして、両乳首をつまみ上げた。
「ああっ、ああああああああああーーーーーーっ」
 ついに快感の大波が全身を駆け抜けて、アンネロッテを初めての絶頂に押し上げた。
 丸く開けた口からは叫ぶような声が放たれ、上を向いて見開かれた視界は真っ白になった。

 永遠にも思えた絶頂の瞬間が過ぎ去って、体中の力が抜けていく。
 快感の余韻が体を痙攣させるのを体験しながら、アンネロッテは緩んではいけないところまで緩むのを感じた。
(ああっ、だめ・・・・・・)
 強烈なショックで呆けさせられた精神は、その基本的な禁忌を止めることができない。
 アンネロッテのひくつく肉唇の合わいから、薄黄色の液体が放出され始める。
 横に向けて放射される小水は、池に落ちて大きな水音を立てる。
 男が驚いたように口笛を吹き、間近で見られているのを遠くに感じられる。
 今は羞恥や背徳感すら甘い快楽に変わってしまうのをアンネロッテは感じていた。

 放尿は意外と長く続き、その間にアンネロッテの意識は正常に働くようになる。
(ああ、ああ、私はなんてこと浅ましいを・・・・・・)
 先ほどまで感じていた快感、響かせた声、漏らした体液、すべてが恥辱となってアンネロッテを苛んだ。
 アンネロッテは泣き出した。もはや騎士の誇りも、乙女の貞潔も、人間の尊厳、すべて崩れ去った心地だった。

 男はそんなアンネロッテを楽しそうに見ていた。
「そんなに泣くな。女の快楽を初めて味わって良かっただろう」
「だ、黙れ! 貴様なんかに・・・・・・うぅ。もう十分私を辱めて満足しただろう。いい加減放してくれ・・・・・・」
「やっぱり分かっていないな。ここで満足する男がいるものかよ」
 そう言って男は、ズボンを脱ぐ。アンネロッテの目に、グロテスクに勃起した男根が飛び込んでくる。
「なっ」
 アンネロッテの目が驚愕に見開かれた後、真っ赤になって目を背ける。そして恐怖で青くなると、体を震わせた。
「ま、まさか私を・・・・・・」
「裸にひん剥かれて、あんあんよがってから、まさかもくそもないだろう」
「ひっ」
 男が近づいてきて、アンネロッテの頬を掴んで自分の方を向かせる。
「お前だって俺をぶち殺しにきたんだろう。犯されたって文句を言える立場かよ」
「そ、それは・・・・・・」
 殺すつもりまではなかった、と言っても真剣で戦った以上通用しないだろう。
「あ、あれは正々堂々たる一騎打ちだった。私は負けた。お前の強さには敬意を払う。だから、敗者にも相応の扱いがあるだろう」
「ふん騎士道精神ってやつか、俺には関係ないね」
「お前だって騎士の息子なんだろう!」
「でも騎士じゃなく傭兵になった。傭兵の理屈じゃ、力が全てだ。気にくわない奴がいたらぶち殺し、抱きたい女がいたら、犯すのさ」

「くぅっ、お、女を縛って無理矢理などと、男として恥ずかしくないのかっ」
 言いながらアンネロッテは絶望する。
 かつて似たような台詞を言って、男に狼藉されている娘を助けたことが幾度かある。
 だが、今の自分は助ける側ではなく、犯される無力な娘の立場なのだ。そして、自分を助けてくれる者は、どこにもいない。
 アンネロッテは、自分が犯される側になるとは今まで思ってもみなかった。
 自分の武技がこの大陸でも最強の部類だと信じ、それを証明してきた。
 もし自分を倒すほどの男がいたとしても、そんな達人は女を無理矢理犯すような下劣な男ではないだろう。クロイツ辺境伯の長男としてまっすぐに育った故か、そんな根拠のない思い込みがあったのだ。

「くくく、そんなにいやがるもんじゃないぜ。さっき、おまんこを舐められて、いったときは気持ち良かっただろう。小便を漏らすほどだもんな」
「うぅっ、あれはっ、……言うなぁっ」
「これでも俺は優しい男だぜ。女を犯すときも感じさせて、天国へ連れてってやるからな。犯される前は、操を奪われたら死ぬなんて言ってた女も、最後はもっと犯してと泣いて頼むようになるのさ」
「下種めっ……うっ、私は絶対そんな風には……んあぁっ、やめろおっ」 
「ふふふ、騎士姫様もこんな感じやすい体じゃ、すぐにそうなるな。男の振りをして女を押さえつけても、体の方は男に犯されたがっている。だからこんなにいやらしく胸も尻も育つのさ」
 男は言葉でアンネロッテを辱めながら、くねる女体を愛撫で追い詰める。先程絶頂したばかりの若い肌は敏感に反応して、アンネロッテを恥辱に悩ませる。
(こ、こんな下劣な男に触られてっ、ああ、また感じてしまう……)

「そろそろ、良さそうだな」
 男が、自らの怒張の先端を、乙女の秘部に押し当てる。
「ひっ」
 先端は赤黒く、太く固く屹立した肉茎には血管が浮き出て、乙女の目にはそれが人の器官であるとは思えないほど凶暴な姿に見える。
 その先端が攻めようとするのは、強制開脚で濡れ光る姿を露わにしながら、恥じ入るように閉じ合わさる様が初々しくも可憐な肉蕾であった。
(あ、あんな大きいものが入るわけがない……割けてしまう)
 アンネロッテは圧倒的な力の怪物に、無力な自分が喰い殺されるような恐怖を味わう。

「いやぁぁぁぁっ! や、やめて、お願い、それだけは……、どうか、それだけは……」
 男は亀頭を花肉に擦りつけて、締まる秘門をこじ開けようとゆっくり押し込んで来る。アンネロッテは無惨に開かされた部分に必死に力を込めて、なんとか侵入を防ごうとした。
 突如、アンネロッテの耳の中にふっと息が吹き入れられ、同時に脇腹を十指で優しく撫でられる。
「はぁんっ」
 体をぞくぞくとした感覚が駆け上り、一瞬体の力が抜けてしまう。
 みちぃっ
 内部で何かが割ける音を感じる。一瞬遅れて鋭い痛みが体を刺す。
「ああぅっ!」
 思わず顔をのけぞらしたアンネロッテは、体の内部に熱くて固い大きな異物が押し入ってくるのを感じて、目の前が真っ暗になった。
「あああ……くぅ、あくぁ……」
 大きく見開かれた瞳から、涙が頬を伝う。
 大きく挿し拡げられた柔らかい秘肉からも、純潔だった証が真っ白な太ももに赤く一筋流れた。

(ああ、嘘……、私、初めてを犯されてしまった。こ、こんな男に……)
「ふはははは、どうだアンネロッテ、これで本当に女になったな。くくく、お前を女にしたちんぽの感触をじっくり味わっておけよ。一生忘れられないくらいにな」
 喪失感と衝撃で、アンネロッテは声も出ず、うつろな目を空に向けるのみだった。

 男は、処女を突き破った巨根をゆっくりと、ほんの少しずつ、前後に動かす。
 同時に、まるで優しく慰めるかのようにアンネロッテの肌を愛撫し、舌を這わせる。
 男は焦らず、長い時間をかけて若い女体を愛でていった。

「んぁんっ」
 アンネロッテは自分の上げた声に驚いて、我に返る。
「ふふ、そろそろ感じてきたか。やはりいやらしいなこの体は」
 そう言って男は腰の動きをやや大きくする。
「あつぅっ、あぅ、痛い……」
 ずっと続いている破瓜の痛みは、もうそれほどでもない。しかし肉体の痛みを確認すると、心の痛みもよみがえる。体がばらばらになりそうな程の屈辱感を感じる。
「くぅっ」
 アンネロッテは唇を噛みながら、打ち砕かれた誇りをかき集めて男を睨み付ける。
「ゆ、許さない……こんなこと、あぁぅ、私に……はぁんっ」

 しかしもはや時既に遅かった。心が空白で抵抗力がなかった時にされた丁寧な愛撫が、その体に男の侵略を受け入れさせていた。
 初めて感じる、熱い肉棒に自分を内部から押し広げられる圧迫感。内壁を刺激して女体に生まれる感覚。アンネロッテは抑えきれない喘ぎ声を羞恥とともに漏らす。まるで自分が内側からめくり返されて支配されているような感覚は、屈辱の中にどこか快美感をともなっていた。
「ああっ、はぅぅ、ああん、だめぇ、はぁぁっ、どうしてぇっ……」

「くくっ、いい声でよがるじゃねえか。これで、わかったろう。女の快楽、犯される快感って奴がよ」
「い、いやぁっ、はあぁん、そ、そんなんじゃない、くぁぁ、あふぅ」
 男は腰を巧みに動かし、きつく締め付ける処女膣を丁寧にえぐる。浅い部分をえらで刺激し、最奥部を先端で叩く。かき回すように腰を回して複雑に分身を操り、処女の性感を目覚めさせる。
 リズムを変えながら体を走る快感に、アンネロッテは頭を振りしだいて、喉の奥から甘い声を上げ続ける。

「色っぽい顔をしやがって、初めてとは思えない乱れようだぜ。本当はずっと男にこうされたくってしょうがなかったんだな、いやらしい騎士姫様はよ」
「はぅぅん、はぁっ、ああっ、そ、そんなことない……あひぃっ」
 かろうじて残った理性が、快感に負けてはならないと叱咤し続ける。しかし、もはや敗北は明らかだった。
 股間からの刺激が全身を甘く痺れさせ力が抜ける。その肌を触られるとさらに切ない気分になって、女体をくねらせてしまう。
(ああっ、だめよ、気持ち良すぎて、おかしくなっちゃう。私の体は、こんなにいやらしかったの……?)

 ついに男が深いストロークで抜き差しをし始める。えらで内部をかきながら、男根を抜けそうな程引いたかと思うと、子宮口を押し上げるまで埋め込む運動を繰り返す。
 破れた処女膜が痛みを発するが、今やそれすらも快感を深くする程だった。
「あぁっ、あぁっ、あぁっ、だめっ、だめぇ、いっちゃうっ、わたし、またいっちゃうぅぅ!」
 目の前に星が瞬くほどの快感に全身を支配され、アンネロッテが身も世もなく叫ぶ。
「いっちまいな、雌にしてやるっ!」
 男は激しく腰を打ち付けながら、肉割れの上端から充血して顔を出す赤い肉真珠を指でつまみ上げた。
「あんっ、はあぁっ! もうっ、もうだめっ、んああぁぁぁぁぁぁぁっーーーーーー!」
 その瞬間、高まり続けた快感が、爆発を起こす。
 視界が白く瞬いて、縛られた体が宙に浮いているように感じる。
 白い体を弓のように反らせて、アンネロッテは女肉の絶頂に全てを奪われる。そのまま夢見心地でびくっ、びくっと吊られた女体を痙攣させるのだった。


「くくくくくっ、最高だったぜ、アンネロッテ。」
 男が、女壺から男根を引き抜くと、白い液体が垂れ落ちた。
 アンネロッテはぼんやりとした頭で、この男に大切なものを汚され尽くされたことを実感するのだった。
 男は手足を枝に縛っていた拘束を解くと、手早く手足の鎧も脱がしてアンネロッテを完全な丸裸にする。
 そして、快感の余韻と強姦のショックで崩れ落ちるアンネロッテの尻を後ろから抱え上げた。
「ああっ、もう許して……」
 もはや抵抗する気力もなく、普段の気丈さからは考えられない弱々しい声しか出ない。
 男は容赦なく、四つん這いのアンネロッテを後ろから貫く。
「はあぁっ、あふぅん」
 諦めと絶望に心が折れると、肉体の快感だけが満たされ、いつまで続くのかもわからない快楽にアンネロッテは溺れてしまう。
 男の下腹部が尻肉を打つ音に合わせて、甘い嬌声が高らかに木々の間に響き渡った。

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